闇バイトで実刑判決の19歳、北海道から上京わずか半年で人生暗転…「疑わず指示役信じた」後悔

読売新聞

 

 

 

 

神奈川県厚木市の中古ブランドショップで昨年8月、貴金属などを奪い、逃走する際に通行人にけがを負わせたとして強盗傷害罪などに問われた北海道旭川市の男(19)の裁判員裁判で、横浜地裁小田原支部は30日、懲役6年(求刑・懲役10年)の判決を言い渡した

 

 

 

 

 

 判決によると、男は昨年8月31日、共犯者らと厚木市の中古ブランドショップで商品棚のガラスをハンマーで割って腕時計など計130点(販売価格約8400万円)を奪い、路上で制止しようとした通行人の男性の頭をハンマーで殴り、けがを負わせるなどした。

 弁護側は少年院送致の保護処分を求めたが、寺本真依子裁判長は「被告が『闇バイト』に応募して指示に従ったとはいえ、主体的に行動し、悪質な役割を果たしている。保護処分にすることが社会的に許容されるとはいえない」などと述べた。

 

 

 

 

 

母「優しい子だった」

 「人一倍責任感が強く、優しい子だった」。4月中旬の公判で、情状証人として出廷した母親が涙ながらに語ると、それまで真っすぐに裁判官を見つめていた男は、涙をこらえるように天井を見上げた。

 

 

 男は高校卒業まで北海道旭川市で母と2人で暮らした。生活保護を受け、通学の交通費や食費を稼ぐためにアルバイトもした。

 

 

 高校での生活態度が評価され、担任教諭の勧めで昨春、千葉県君津市の会社に就職。研修を終えた5月、歯車が狂い始める。同僚と東京都内で一晩中カラオケをし、パチンコを始めると約25万円の借金を抱えた。「人を傷つけないなら」。行き着いたのはSNSで見つけた「闇バイト」だった

 

 

 

 

昨年8月30日、指示役から「報酬5万~10万円で運びの仕事」と言われ、共犯者3人と向かったさいたま市で「民家のガラスを割って中に入ってください」などと強盗を指示された。

 ほかの共犯者が逃げ出し、この計画は中止されたが、指示役からはさらに厚木市の中古ブランドショップを襲う計画を伝えられる。「従わないと拷問される」と追い詰められる一方、提示された報酬40万円に引かれ、指示に従った。

 上京し、わずか半年で人生は大きく変わった。男は公判で「考える力がなく、疑わないで指示役を信じた。自分の意思を伝え、考えを突き通せる人間になりたい」と語った。

 判決の言い渡し後、寺本真依子裁判長が「反省を続けてほしい。今後は色んな人に頼って相談し、自分の弱いところをどう克服するか考えてほしい」と語りかけると、男は静かにうなずいた。(山崎永麗南

 

 

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