日建設計とDBJが進める「ゼノベ」プロジェクト、初弾「日建ビル1号館」が完成

田口 由大

 

ライタ

 

 

 

日本政策投資銀行(以下DBJ)とDBJアセットマネジメント(以下DBJAM )、日建設計は、築古の既存ビルを改修して環境性能を高め、二酸化炭素(CO2)排出量削減と不動産価値向上の両立を図る「ゼノベ(ゼロ・エネルギー・リノベーション)」プロジェクトを推進している。初弾となる「日建ビル1号館」(大阪市)の環境改修が完了し、2025年4月8日に報道関係者に公開した。

 

 

 

環境改修を実施した日建ビル1号館(写真:田口 由大)

環境改修を実施した日建ビル1号館(写真:田口 由大)

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 日建ビル1号館は、1968年に完成した地下1階・地上7階建ての賃貸オフィスビルだ。改修設計を日建設計、改修工事を藤木工務店が担当した。今回の改修では、汎用性の高い技術を使って断熱性能の向上と高効率な空調機器の導入などによりZEB Ready(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・レディー)を達成した。

 

 

 

 

 改修の主なポイントは、断熱性の向上と自然換気の導入、設備の高効率化の3点だ。

 断熱性の向上では、屋上や外壁に吹き付けウレタンフォームを施工し、2~7階の南向きの窓をリニューアルした。5~7階は窓の位置を室内側に変更してバルコニーを設け、ガラスをLow-E複層ガラスに交換した。2~4階では従来の窓はそのままで、木製サッシの内窓を取り付けて日射遮蔽性能を高めている。

 

 

 

 

5~7階は、窓の位置を室内側に移動させてテラスを設けるとともに、窓ガラスをLow-E複層ガラスに交換した(写真:田口 由大)

5~7階は、窓の位置を室内側に移動させてテラスを設けるとともに、窓ガラスをLow-E複層ガラスに交換した(写真:田口 由大)

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2~4階は窓に木製サッシの内窓を設置した(写真:田口 由大)

2~4階は窓に木製サッシの内窓を設置した(写真:田口 由大)

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室内の様子。LED照明を最適な配置にすることで照明器具の過度な明るさを抑えている(写真:田口 由大)

室内の様子。LED照明を最適な配置にすることで照明器具の過度な明るさを抑えている(写真:田口 由大)

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 自然換気システムには、階段シャフトを用いた重力式を採用した。階段室の最上階には、天候や気温を感知し自動で開閉する窓を設置している。この窓の開放に合わせて各階の窓を開けることで、階段室を通じた自然換気が可能になるという。

 設備面では、空調機器に高効率な機器を採用すると同時に、設備容量をダウンサイジングして最適化を図った。また室内のLED照明の配置を最適化し、明るさを一般的な700lx(ルクス)から500lxに抑えた。さらに人感センサーなどを用いることで消費電力量を40%削減するという。

 

 

 

 

高効率の空調機器を採用した。写真は屋上に設置した室外機(写真:田口 由大)

高効率の空調機器を採用した。写真は屋上に設置した室外機(写真:田口 由大)

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 こうした対策によって、同ビルは標準的なビルと比較して約58%のCO2削減効果を見込んでおり、ZEB Readyの認証を取得している

 

 

 

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