見どころ(2)張力構造
大阪・関西万博「NTT Pavilion」に1500本の炭素繊維ワイヤ、日本初の張力構造
川又 英紀
日経クロステック/日経アーキテクチュア
NTTが大阪・関西万博に出展したパビリオンの外周には、白い糸のようなものが何本も垂れ下がっている。構造材に採用した炭素繊維ワイヤだ。束状のロープで支えるパビリオンもあり、張力構造が存在感を放つ。
「NTT Pavilion」は約1500本の炭素繊維ワイヤでパビリオンの屋根架構を支えている。直径9mmの丈夫なワイヤは建物上部と地上を結ぶ縦方向のものがあれば、3つの展示棟の屋上付近を横方向に延びるものもある。
最小限の鉄骨を使った屋根架構を炭素繊維ワイヤで支えた。白い糸のような無数のワイヤが建物の外周に見える(写真:生田 将人)
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展示棟は3棟で構成。屋上にもワイヤが延びる(写真:奥村組)
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NTT Pavilionの構造概念図。鉄骨の屋根架構を炭素繊維ワイヤで支持している(出所:NTTファシリティーズ)
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「長期荷重を負担する架構の構造材として、炭素繊維ワイヤを日本で初採用した」(NTTファシリティーズ東日本事業本部都市・建築設計部構造設計部門第一設計室の岸本直也主査)。施工は奥村組だ。
建物の外側に飛び出た鉄骨梁に炭素繊維ワイヤを結び、地上から引っ張って土台につなぐ。レンチでワイヤを締めて張力を調整し、屋根架構を支えた。
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