増収と増益の会社は共に6割強、中途採用強化で事業拡大する建設コンサル

2024年決算調査

門馬 宙哉

 

日経クロステック/日経コンストラクション

 

 

増収と増益の会社は共に6割強、中途採用強化で事業拡大する建設コンサル | 日経クロステック(xTECH)

 

 

日経クロステックが全国の主要な建設コンサルタント会社に実施した調査で、増収と増益の会社が共に6割超に上ると分かった。この機を捉え、各社は海外も含めた事業拡大を見込み、人材採用の強化に力を入れる。

 2024年に期末を迎えた決算期(当期)に増収だった会社は67%に上る(資料1)。17年に期末を迎えた決算期から8年連続で6割超を維持した。売り上げだけでなく利益も好調だ。増益だった会社の割合は23年に期末を迎えた決算期の44%に対し、当期は20ポイント近く増やした。

 

 

 

 

資料1■ 増収・増益だった会社の割合

資料1■ 増収・増益だった会社の割合

各年に期末を迎えた決算期を対象とした日経クロステックや日経コンストラクションのアンケートから、売上高と営業利益を前期と比較し、増えた会社の割合を示した。決算期の変更などで前期と比較できない会社は除いた(出所:日経クロステック)

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 建設コンサルタント部門の売上高ランキングでは日本工営、パシフィックコンサルタンツ、建設技術研究所の上位3社の顔ぶれは前期から変わらない(資料2)。ただし、23年の調査で3位だったパシフィックコンサルタンツが、12.5%伸ばし2位に浮上。災害関連で大規模な案件が増え、大幅な増収となった。

 

 

 

 

 

資料2■ 建設コンサルタント部門の売上高ランキング

資料2■ 建設コンサルタント部門の売上高ランキング

カッコ内は対前期増減率(%)。調査概要は「建設コンサルタント会社ランキング、2024年1月期~12月期決算」参照(出所:日経クロステック)

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 同社は売り上げだけでなく、大幅な増益も達成した。建設コンサルタント部門の当期の売上総利益は前期から2割以上増えて約168億円だった。デジタル技術の開発に費やす予算を約7割増やしたものの、それにより生産性が向上したことで増益を実現できた。

 具体的には24年10月、技術開発を担う社長直轄の部署「先端技術センター」を立ち上げた。これまでは現場からの提案を基に新技術の開発・導入に取り組んでいたが、同センターに技術開発の予算を集約。コストや導入効果を基に経営主導の判断が可能になり、技術導入までの時間が早まった。

 次期以降の売上高の指標となる受注高も好調な会社が多い。建設コンサルタント部門の受注高上位20社のうち18社が前期よりも増やした(資料3)。大日本ダイヤコンサルタントは合併によるシナジー効果が受注高に現れ始めた。同社は23年7月に、橋梁設計で大手の大日本コンサルタントと地質調査に強みを持つダイヤコンサルタントが合併して誕生した。

 

 

 

 

 

資料3■ 建設コンサルタント部門の受注高ランキング

資料3■ 建設コンサルタント部門の受注高ランキング

カッコ内は対前期増減率(%)。建設コンサルタント部門の受注高について回答が無かった会社はランキングの対象外とした。調査概要は「建設コンサルタント会社ランキング、2024年1月期~12月期決算」参照(出所:日経クロステック)

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 売上高は合併前の受注が主となり、前期から0.1%の微増にとどまったものの、受注高は合併の効果が存分に現れて約12%伸ばした。大日本ダイヤコンサルタント取締役専務執行役員の税所博文経営企画本部長は「合併前の両社の強みを生かすことで、対応できる分野が広がった」と話す

 

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