インフルエンサーの影響で大ヒットも…

不眠に効くと米国で話題の「マグネシウム」 はたして効果はあるのか

 
 
 
 
 

 

ウォール・ストリート・ジャーナル(米国

 

 

Alexandra Wolfe

 

不眠に効く魔法の薬「マグネシウム」 本当なのか


サンフランシスコで先日開かれた読書会の集まりで、文学談義に入る前に参加者が一人ずつ近況を報告した。会社の役員になった人もいれば、新しい論文を発表したばかりだという人もいた。

 

 



キャスリーン・ジェイナスさんは自分の番になると、「マグネシウム!」と答えた。「全員、『キャスリーンはまた新しい睡眠のコツを見つけたよ』と言わんばかりだった」

 



しかし数日後、マグネシウムについてジェイナスさんに聞こうと、「みんながメールを送ってきた」という。

 

 


 

毎晩少なくとも一度は目が覚める生活を20年間送ってきたジェイナスさんは、睡眠を改善する方法を探していた。だが、不眠に悩んでいたのは自分だけではなかった

 

 

 

 

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マグネシウムサプリで眠りを改善できるのか? - NewSphere

 

◆睡眠ホルモンとの関連も指摘
マグネシウムはもともと体内に存在するミネラルであり、複数の生理的機能をサポートしている。冒頭で述べた作用のほかに免疫力の向上にも関わっているが、さらに睡眠との関連も指摘されている。ニューヨーク・タイムズ紙は一部の専門家の見解として、マグネシウムが不足すると神経シグナルの伝達が不調となり、不眠につながる恐れがあると紹介している。メラトニンなど、睡眠に関わるホルモンの濃度が変化してしまう場合もあるようだ。

ある実験では、高齢の不眠症患者に1日あたり500mgのマグネシウムを8週間投与したところ、不眠を示す指標の多くが改善される結果となった。入眠までの時間が短くなり、睡眠時間は長くなった。早朝に意図せず目覚めてしまうことも減り、加えて、メラトニン濃度の上昇がみられたという。さらに、特定の病気で眠りにくい人々の助けにもなっている。米スリープ・ファウンデーション誌は、レストレスレッグス症候への効果を紹介している。これは「むずむず脚症候群」とも呼ばれる疾患で、夜になると手足をじっとしていられない感覚に襲われ、寝つきにくくなるというものだ。5週間前後のマグネシウムの投与で8割方の症状が改善したとの報告が出ている

 

◆効果には議論の余地が
優れた効果が期待できるマグネシウムだが、サプリなどの形で摂取すべきかについては諸説ある。マグネシウムは幅広い食品に含まれているため、あえて積極的に摂らなくとも、日常的に深刻な不足状態になっている人は稀だ。ナッツ類や野菜、豆類、魚などに含有されており、最低限健康的な食生活をしている限り、日常の食事を通じて自然に摂取できている場合が多い。ニューヨーク・タイムズ紙は、アメリカでは政府推奨の基準値こそ下回る人が多いものの、深刻なマグネシウム不足に陥っているケースはめずらしいと述べている。

さらに、仮にマグネシウムを意識的に補給したとして、睡眠をどれほど改善できるかについては大規模な研究が行われていない。同紙記事では、マグネシウムとプラセボを摂取させた対照実験において、マグネシウムを摂取した群は熟睡を感じ、睡眠の主観的な満足度が向上したと報じている。一方で客観的な指標である眠りの長さについては、こちらの実験では目立った差異はみられなかった。

米オハイオ州で活動するウメダ医師は、NPOの医療センターである米クリーヴランド・クリニックに対し、マグネシウムと睡眠の研究については小規模な研究しかなく、学術的にさほど強い根拠はないと語っている。副作用の危険性が少ないため試してもよいとする医師は多いが、現状で万人に効果が保証されているわけではない。生活に取り入れるとすれば、もしかしたら眠りを変えられるかもしれない、くらいの心構えで臨むとよさそうだ。

◆サプリと食品から効果的に取り入れるには?
市販のマグネシウム・サプリメントを用いる場合、クリーヴランド・クリニックは、成分に留意するよう勧めている。200mgのグリシン酸マグネシウム、または同量のクエン酸マグネシウムを含む製品が好ましいという。酸化マグネシウムは、お腹を下しやすくなるだけで不眠にはあまり効果がないため避けた方がよい。また、マグネシウムのサプリは比較的安全とされているものの、一部の薬との併用は禁忌となるため、試す前に主治医に相談するのが確実だ。

米スリープ・ファウンデーション誌は、サプリメントの補助なしの場合、アメリカ人のほぼ2人に1人が推奨摂取量を満たしていないとしている。とくに不足しがちなケースとして、高齢者または子供や若者、2型糖尿病、過度のアルコール摂取、胃腸障害などが該当する。もしサプリに頼らず自然の食品から摂取したい場合は、ほうれん草など葉物野菜、ナッツ類や豆類、ヨーグルトや牛乳、豆腐や豆乳など大豆製品、そして玄米など全粒穀物などの食品を重視したい。

効果が保証されているわけではないが、一部研究ではマグネシウムによって睡眠の質が向上していることも確かだ。個人の性質によっては、眠れない夜の助けとなるかもしれない