巨大スクリーンが迎える万博「米国館」、設計者が語るデザインの見どころ

坂本 曜平

 

日経クロステック

 

 

巨大スクリーンが迎える万博「米国館」、設計者が語るデザインの見どころ | 日経クロステック(xTECH)

 

 

 

 

大阪・関西万博の見どころの1つが、特徴的な外観デザインで“万博の華”と呼ばれる海外パビリオンだ。中でも人気を集めるのが、巨大LEDスクリーンが目を引く米国館。1970年の大阪万博から55年ぶりとなる「月の石」の展示などで話題になっている。設計者に話を聞くと、米国館のデザインは日本文化から着想を得たという。写真と図面で米国館のデザインを見ていこう。

 

 

 

米国館の外観。ハグをする時に広げる腕のように配置した三角形平面の2棟の建物と、宙に浮かぶ近未来的なキューブが来訪者を迎え入れる(写真:日経クロステック)

米国館の外観。ハグをする時に広げる腕のように配置した三角形平面の2棟の建物と、宙に浮かぶ近未来的なキューブが来訪者を迎え入れる(写真:日経クロステック)

[画像のクリックで拡大表示]

 

 

 

 

 東ゲートから万博のシンボル「大屋根リング」を抜けて広場に出ると目の前に米国館が見えてくる。来場者を迎え入れるように間口を広げたパビリオンだ。入館に事前予約が必要な海外パビリオンがある中、米国館は予約不要で入館できることもあり、開幕初日には来場者が長蛇の列をなした(2025年5月1日からは事前予約受け付けを開始する予定)。

 三角形平面の建物2棟で構成する米国館は2階建てで、延べ面積は約2900m2。2棟の建物を並べて配置し、V字形を形成することで峡谷のような空間をつくり出した。建物正面の壁2面に、縦約6.5m、横約26mの巨大LEDスクリーンをそれぞれ設置。スクリーンには米国の国旗や、米国を象徴する風景などの映像をダイナミックに映し出す。

米国館の1階平面図。三角形平面の建物2棟を並べた構成だ(出所:Trahan Architects)

米国館の1階平面図。三角形平面の建物2棟を並べた構成だ(出所:Trahan Architects)

[画像のクリックで拡大表示]

米国館の2階平面図。宙に浮かんで見えるようにつるしたキューブは、三角形平面の建物2棟をつなぐ役割を担う(出所:Trahan Architects)

米国館の2階平面図。宙に浮かんで見えるようにつるしたキューブは、三角形平面の建物2棟をつなぐ役割を担う(出所:Trahan Architects)

[画像のクリックで拡大表示]

 ひときわ目を引くのが、2棟の建物に挟まれる形で、宙に浮かぶように設置した1辺約13.5mのキューブだ。半透明のポリカーボネートで覆った近未来的なデザインのキューブに、両側に設けたスクリーンの光が反射する。夜には幻想的な空間を生み出す。記者が米国館を訪れた際にも、キューブを見上げて写真を撮影している来館者が多く見られた。

1辺約13.5mのキューブは、半透明のポリカーボネートで覆われている(写真:日経クロステック)

1辺約13.5mのキューブは、半透明のポリカーボネートで覆われている(写真:日経クロステック)

[画像のクリックで拡大表示]

米国館の夜景。スクリーンに映し出された映像と、その光を反射したキューブが映える(写真:日経クロステック)

米国館の夜景。スクリーンに映し出された映像と、その光を反射したキューブが映える(写真:日経クロステック)

[画像のクリックで拡大表示]

 キューブは2棟の建物をつなぐ役割を担っており、内部は没入型の展示スペースになっている。内部の壁面と天井にスクリーンを設けて、打ち上げたロケットが月面着陸を経て、その先の宇宙空間に旅立つというストーリー映像を映し出すことで、来館者が宇宙飛行士になったような体験を提供する。

キューブ内の展示。壁面と天井にスクリーンを設けて映像を映し出すことで、来館者に宇宙探査体験を提供する(写真:日経クロステック)

キューブ内の展示。壁面と天井にスクリーンを設けて映像を映し出すことで、来館者に宇宙探査体験を提供する(写真:日経クロステック

 

 

巨大スクリーンが迎える万博「米国館」、設計者が語るデザインの見どころ | 日経クロステック(xTECH)