最後の一滴の水も搾り取られた」

グリーンエネルギーのための採鉱が気候変動の被害を拡大させている皮肉

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

ガーディアン(英国

Anna Heikkinen and Aramís Castro
 
 

リスクのある地域


欧州で低炭素エネルギーを作るためにペルーから輸出される亜鉛は、すでに気候変動の深刻な被害にさらされている地域から採掘されている。

2023年、ペルーの国会はエルニーニョ現象に関連して発生した干ばつに際し、非常事態宣言を出した。特に深刻な被害に見舞われたのが、亜鉛鉱山の集中するアンデス地域であった。

氷河地帯が受けている気候変動の影響が、鉱業によって深刻化することは、多くの研究で示されている。粉塵による汚染で氷の温度が上がり、融解を加速させるためである。ペルーでは、鉱業廃棄物によって汚染された池や道路舗装も、氷河の減少に拍車をかけている。
 

また、専門家によると、鉱業には多くの水を必要とするため、水不足をもたらすリスクがあるという。もちろんペルーも例外ではない。

「アンタミナの場合、鉱業許可が出されたエリアは重要な水源となる氷河に囲まれた、とてもリスクのある地域です」。そう語るのはペルーの人間環境衛生学の専門家、カレム・ルーケだ。

「水の供給に対する影響は、試掘の段階から出ていました。100~150メートルのドリル掘削で、主要河川への自然な水の流れが遮られてしまいました」

専門家は、亜鉛鉱業による環境への影響はリサイクルの増進によって軽減できると指摘する。しかし、経済的な誘因の不足により、そのリサイクルのシステムは不充分なままだ。世界中の亜鉛のうち、リサイクルされるものはわずか29%にとどまる。

鉱業による環境被害や汚染はペルーのほかの地域でも起こっており、「地域住民がさまざまな汚染物質に大気、土壌、水を通じて慢性的に暴露しています」とルーケは言う

 

 

 

 

 

動かぬ国や企業