トランプ氏、石油会社にベネズエラ撤退命じる 共和党献金者の企業も
Collin Eaton
トランプ氏、石油会社にベネズエラ撤退命じる 共和党献金者の企業も
ベネズエラの石油産業は同国政府に圧力をかける米国の取り組みの標的になっている
米共和党の献金者である石油王ハリー・サージェント3世氏は、米国と南米ベネズエラの対立関係を緩和させようと水面下で取り組んできたことで知られる。だがトランプ政権は28日、同氏の石油取引会社にベネズエラからの撤退を命じた。
サージェント氏が所有するフロリダ州の複合企業の一部であるグローバル・オイル・ターミナルズは、米財務省からベネズエラでの事業許可を取り消された。同国で事業を展開するスペインの石油・ガス会社レプソルや他の外国石油会社も同様の措置を受けた。米石油大手シェブロンは先月、同様の通知を受け取っていた。事業縮小の期限は5月下旬とされている。
これはベネズエラ孤立化に向けたトランプ政権の作戦をエスカレートさせたもので、ベネズエラ人の強制送還対象者の受け入れに消極的な態度への不満などが背景にある。
サージェント氏はトランプ氏のフロリダ州の私邸「マールアラーゴ」でゴルフをプレーし、その翌日にはベネズエラの首都カラカスに向かうといった行動が知られており、米国のベネズエラにおける商業的関与を深化させようと働きかけてきた。ベネズエラには世界最大級の石油・ガス埋蔵量があるとされている。同国のニコラス・マドゥロ大統領はサージェント氏を「アブエロ」(スペイン語で祖父の意)と呼んでいる
グローバル・オイル・ターミナルズを所有する富豪ハリー・サージェント氏
グローバル・オイルは2024年5月に主要な事業許可を得て以降、定期的にベネズエラ西部で産出される重質油の積み出しを行ってきた。供給量の一部は米国の高速道路の舗装に使われている。同社のベネズエラでの三つの石油関連事業の許可を全て取り消された。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認したグローバル・オイル宛て書簡の中で、米財務省はベネズエラの事業体に対する支払いを26日までに全て終えるよう求めている。サージェント氏はWSJとのテキストメッセージのやり取りの中で、支払期限がタイトなことは、より撤退が間近であることを意味すると述べた。
レプソルの広報担当者からは、コメント要請に対する回答をすぐ得られなかった。
孤立化作戦を再び強化する一環としてトランプ氏は先週、ベネズエラ産石油・ガスを購入する全ての国に25%の関税を課すと発表した。4月2日から適用する方針だ。インドのリライアンス・インダストリーズを含むベネズエラ産原油の買い手はすでに調達を控え始めている。
財務省は3月4日、シェブロンがベネズエラで石油を生産することを認めるバイデン政権時代の許可を正式に取り消していた。事業撤退期間として30日間を与えたが、物流面で実行は困難だった。トランプ政権は24日、シェブロンの事業許可を5月下旬まで延長した