キャンセル続出?
「もう米国旅行はしない」 トランプの暴言や関税措置にカナダ人激怒
CBC(カナダ)ほか
Text by COURRiER Japon
カナダ人の米国旅行ボイコット
カナダ人の米国への訪問回数は、毎年数千万回にものぼる。
加メディア「CBC」によれば、2024年は2040万回にのぼり、支出額は205億ドル(約3兆804億円)に達した。
しかし、いまトランプ米大統領の関税措置や「カナダを51番目の州にする」といった発言を受け、カナダ人の間で米国旅行ボイコットの動きが広がっている。
カナダからの輸入品に25%の圧倒的な関税を課すという関税措置はいったん延期されているが、トランプは3月上旬の開始を主張している。
カナダのジャスティン・トルドー首相、およびブリティッシュ・コロンビア州首相はどちらもカナダ国民に対し、関税の脅威を考慮して米国への旅行計画を再考するよう促している。
CBCによれば、もしカナダからの訪問者が10%減少すると、約21億ドル(約3155億円)の支出が失われ、米国の1万4000人の雇用が脅かされる可能性があるという。
すでにカナダの航空大手ウエスト・ジェットやエア・カナダなどでは、米国以外の目的地、たとえば、メキシコやカリブ海への予約増加が確認されている。
米国各州への影響としてはフロリダ、カリフォルニア、ネバダ、ニューヨーク、テキサスなどの人気観光地で、小売業やホスピタリティ業界での収益減少が懸念されている。
そのほかカナダと米国(ノースダコタ州)の国境にある観光名所「インターナショナル・ピース・ガーデン(国際平和庭園)」は、例年15万人の訪問者を迎えるが、カナダ人観光客の予約キャンセルが発生しているという。
「これほどの反応は初めて」
カナダのバンクーバー在住の旅行コンサルタント、マッケンジー・マクミランは、CBCにこう語っている。
「第1次トランプ政権 (2017年-2021年)のときにも、米国旅行は避けたいという声はあったが、どちらかというと口だけだった。しかし、今回は違う。実際に旅行のキャンセルや行き先の変更を要求するクライアントが出てきている」
「これほどの反応は初めて」
同氏によれば、米国の観光地、たとえば、ディズニーランドやユニバーサルスタジオ、ケネディ宇宙センターなどがあるフロリダ州のオーランドや、山や砂漠が美しいカリフォルニア州のパームスプリングスなどの特に温暖な南側では、海外旅行者のなかで最も多いのがカナダ人だった。
「カナダ人のボイコットにより、米国のサンベルト地域(北緯37度線以南の地域)の観光地の多くは大きな打撃を受けるだろう」とマクミランは述べている。
ただ、カナダ人の米国旅行を控える動きは「カナダドル安も関係している」と、オーストラリアに本拠を置く旅行会社「フライト・センター・トラベル・グループ」は米紙「ニューヨーク・タイムズ」に語っている。
カナダ人の米国旅行の減少傾向は、2024年の11月以降に勢いを増しているという。
「カナダドルは米ドルに比べて弱く、輸入関税に関する発表によって既存の消極姿勢がさらに悪化した」との見解を同社はみせている
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