三島のオフィス(静岡県三島市)

くねくねと重なる曲線スラブ

緑に囲まれた全面ガラス張りの低層オフィス 

 

 

発注:加和太建設 

 

 

設計:西沢立衛建築設計事務所 

 

 

施工:加和太建設

 

奥山 晃平

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

 

 

 

西沢立衛氏にとって初めてとなる新築オフィスが、静岡県三島市に完成した。異なる形状のスラブを重ね合わせた建物の内外に、多様な居場所を用意する。社員は働き方や気分に応じて、滞在する場所を自由に選択できる。

 

 

加和太建設の新本社「三島のオフィス」を西側から見る。2枚のスラブがずれながら重なっている(写真:浅田 美浩)

加和太建設の新本社「三島のオフィス」を西側から見る。2枚のスラブがずれながら重なっている(写真:浅田 美浩)

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 JR三島駅の北口を出ると、くねくねと緩やかな曲線を描く2枚のスラブが特徴的な建物が目に入る。静岡県三島市を拠点とする建設会社、加和太建設の新本社「三島のオフィス」だ〔写真1〕。

 

〔写真1〕JR三島駅のすぐ近くに位置する新本社

 

 

 

〔写真1〕JR三島駅のすぐ近くに位置する新本社

加和太建設の新本社は、JR三島駅北口から出て徒歩2分ほどの場所に立つ。同じ場所に立っていた旧本社を解体して建て替えた(写真:浅田 美浩)

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 加和太建設は、旧本社の老朽化や社員数の増加などに対応するため、本社の建て替えを計画した。プロポーザルを2019年に実施し、西沢立衛建築設計事務所(東京・江東)を設計者に選定。自ら施工を手掛け、24年6月に完成した。

 

 

 

 「三島の豊かな自然と一体になるような建物を目指した」と西沢立衛氏は語る。富士山の麓に位置する三島は、あちこちから地下水が湧き出る。温暖な気候で緑も豊富だ。豊かな自然に溶け込む、緑に囲まれた低層の建物を提案した。

 

 

 新本社は地上2階建て、延べ面積は約1800m2。6階建てだった旧本社と比べて階数は減ったものの、建物の規模はほぼ同じだ。屋上には庭園を設け、社員が休憩したり、イベント時に利用したりできるスペースとした〔写真2〕。

〔写真2〕開放的な屋上庭園

 

 

 

〔写真2〕開放的な屋上庭園

2階と屋上をつなぐ階段状のテラス。屋上は開放的で、天気が良い日には富士山が見える(写真:浅田 美浩)

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 建物を特徴づける2枚のスラブは、それぞれ異なる形状だ。厚さ300mmの鉄筋コンクリート(RC)スラブが水平に広がる。ずらしながら重ねることで、気持ち良い風が抜ける軒下の日陰や、空が開けたテラスなど様々な表情を持つ場所をつくった。

 

 

 屋外の各所には、椅子やテーブルを配置した。「外にいながら作業を進められる。気軽に外に出て、ご飯を食べたり、仕事の合間に談笑したりしてほしい」。西沢立衛建築設計事務所の稲葉来美氏はこう語る〔写真34〕。

〔写真3〕心地良い風が抜ける2階の屋外

 

 

 

 

〔写真3〕心地良い風が抜ける2階の屋外

2階の軒下空間。大きく張り出したスラブが直射日光を遮る。食事や休憩時などに使える椅子やテーブルが並ぶ(写真:浅田 美浩)

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〔写真4〕2層で構成されたオフィス

 

 

 

〔写真4〕2層で構成されたオフィス

異なる形状のスラブが重なっている様子。日が落ちると、ガラス張りの建物から外に明かりが漏れ出す(写真:浅田 美浩

 

 

くねくねと重なる曲線スラブ | 日経クロステック(xTECH)