鹿児島の北薩トンネル崩落、長さ180mの水抜きトンネル掘削へ
青野 昌行
日経クロステック/日経コンストラクション
鹿児島の北薩トンネル崩落、長さ180mの水抜きトンネル掘削へ | 日経クロステック(xTECH)
鹿児島県の「北薩(ほくさつ)トンネル」で壁面が崩落し、土砂が坑内に流入した事故を受け、県は2024年12月中旬から地中の水を抜くため長さ180mのトンネル(導坑)を新たに掘削する。その後、導坑からボーリングを実施し、崩落箇所の周囲に生じていると見られる空洞を調査する。24年11月20日に開いた技術検討委員会(委員長:酒匂一成・鹿児島大学教授)の第2回会合で明らかにした。
崩落した北薩トンネル内の状況。2024年11月1日撮影(写真:鹿児島県)
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北薩トンネルは鹿児島県の出水市とさつま町を結ぶ北薩横断道路の一部で、長さは4850m。崩落事故は24年7月下旬、出水市側坑口から1870mの地点で発生した。流入した土砂がトンネルの断面をほぼ全て埋め、延長方向へ約120mにわたって広がっている。
このトンネルでは建設時に大量の湧水が発生したため、一部の区間で周りをリング上に囲むよう地盤にセメントを注入する減水対策工事を実施していた。事故の発生箇所は、対策を施した延長100mの範囲内にある。
崩落地点から約80m出水市側に離れた箇所から斜め前方へ取り付け導坑を掘削する。導坑の幅は5.7mで、断面積は30m2。カーブを描いて約60m進んだ後、取り付け導坑を拡幅し、その先の湧水量などを確認するため本線トンネルと平行に長さ110mの水抜きボーリングを実施する。
水抜き工事の計画概要(出所:鹿児島県)
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続いて、本線トンネルと平行に15mの離隔を取って長さ120mの水抜き導坑を掘る。水抜き導坑を20m掘削するごとに、斜め前方へ長さ30mの水抜きボーリングを左右2本ずつ実施する計画だ。さらに、水抜き導坑から本線トンネルに向かって水抜きを兼ねたボーリングを実施し、地中の空洞を調査する。
本線トンネル(本坑)と導坑の断面(出所:鹿児島県)
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空洞調査の概要(出所:鹿児島県)
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2024/09/18