出勤を拒むのであれば…

米「政府効率化省」イーロン・マスクが「リモートワーク禁止」で目指すもの

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

CNN(米国)ほか

 

Text by COURRiER Japon

ドナルド・トランプによる次期政権で、「政府効率化省(DOGE:Department of Government Efficiency)」のトップに任命された億万長者のイーロン・マスクと、実業家のビベック・ラマスワミ。

11月20日、二人は連名で米「ウォール・ストリート・ジャーナル」に寄稿し、政府改革案の概要を発表した。いわく、「我々はこれまでと違うやり方をする。我々は起業家であり、政治家ではない。我々は連邦政府の役人や職員ではなく、外部のボランティアとして従事する」のだという。

「CNN」によると、彼らが真っ先に手をつけようとしているのは、連邦政府職員の「リモートワークの撤廃」だ。政府効率化省の初期議論に詳しい情報筋が、優先事項には「連邦政府機関全体のリモートワークの廃止と、すべての職員の週5日の出勤義務化への取り組みが含まれると明かした」と伝える

 

 

 

彼らの目的、それは、リモートワークの撤廃が職員の自主的な退職を促し、人員削減と政府の経費削減に繋げることだとされる。加えて、首都ワシントンD.C.からの政府機関の移転も検討されているという

 

 

 

 

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地球温暖化を気にしてEVに手を出したのに

“環境派”イーロン・マスクが、温暖化を信じないトランプに及ぼす影響は?

 

 

 

 

蜜月ぶりをアピールしてきたドナルド・トランプとイーロン・マスク 

 

 

 

Photo: 

 

Doug Mills/

 

The New York Times

 

ニューヨーク・タイムズ(米国)

Text by Brad Plumer

 

トランプの大統領選勝利に貢献したイーロン・マスクだが、彼らのあいだにはちょっと気になる、大きな食い違いがある。それは、マスクは地球温暖化を信じているが、トランプはいまだにその科学的事実を嘘だと思っている点だ。環境問題において、マスクがトランプの意見に影響を与えることはあるのだろうか?


「環境派」「気候変動積極支持派」を自称してきたイーロン・マスクが次期米国大統領として熱心に支援した候補は、世界規模の気候変動を「インチキ」呼ばわりする男だった。

こうしていまではドナルド・トランプがホワイトハウス入りを控えているわけだが、ここでひとつ重大な疑問がある。気候変動とクリーンエネルギーに関するマスク自身の見解は、新政権にどれだけの影響力(があると仮定した場合だが)を及ぼすのだろうか?

トランプは大統領選挙期間中、テスラの最高経営責任者(CEO)でビリオネアのマスクとの親交が深まるにつれて、電気自動車(EV)への口撃を明らかにゆるめた。それまで何ヵ月もひたすらプラグイン電気自動車(PEV)を酷評し、販売停止を約束していたトランプだったが、2024年夏はそうした非難のトーンを若干落としたのだ。
 

トランプはミシガン州の聴衆に対し、「EVについてはいつも話しているが、反対しているわけではない。全面的に賛成だ」と発言した。

「EVは自分も運転したことがある。信じられないくらい素晴らしいが、すべての人に向いているわけではない」

その頃マスクは、トランプの態度が明らかに変化したのは自分の功績だと主張し、6月に開かれたテスラの年次株主総会では、同社の株主らに「自分には人を説得する力がある」と発言した。トランプについてはこう述べている。

「彼の友人の多くがいまやテスラの持ち主で、自身のテスラをとても気に入っている。さらに彼は、電動ピックアップトラック『Cybertruck(サイバートラック)』の大ファンだ。そういうことが重なった結果ではないかと思っている」

投票日当日の夜をトランプの邸宅マール・ア・ラゴで過ごし、次期大統領の家族と集合写真に収まったマスクは、今後数ヵ月のうちにホワイトハウスと直通電話でやりとりできる地位を得ると見込まれている。
 

「テスラ」や「スペースX」といったマスクが創業した会社は、すでに連邦政府機関との契約や連邦政府の政策による利益が数十億ドルある。彼は、これを機にさらなる利益誘導を図ろうとしていると見られている。

だが、マスクのいう「説得力」が、気候問題などほかの分野でも発揮されるかどうかは現時点では不明だ。

アメリカン大学環境政策センター講師のポール・ブレッドソーは、「それこそが重要な問題です」と言う。

「マスクはテスラとスペースXの利益のみを主張しているのか? ただの利己的なロビイストか? それとも、トランプを変えようとし、クリーンエネルギーこそ米国が中国に勝つ大きなチャンスを生み出す経済問題なのだと認識させようとしているのか?」

マスクと、トランプの政権移行チームはコメント要請に応じなかった。
 

地球温暖化に怯えていたはずなのに…


地球温暖化とエネルギー政策に関するトランプの見解は明らかだ。彼は、地球がますます暑くなっていることを疑っている(温暖化が進行しているのは間違いないという点で科学者は一致している)。

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