大阪・心斎橋で出店需要が急増、空室率は4年ぶりに0%台に…人気スポーツブランド旗艦店の進出相次ぐ

買い物客らでにぎわう心斎橋筋商店街。出店需要が旺盛で、付近の空室率は0%台となっている(大阪市中央区で)
訪日外国人客が戻って来たことを受け、大阪・心斎橋地区への出店需要が急増している。人気スポーツブランドの旗艦店の進出が相次いでおり、心斎橋地区の空室率は0%台となっている。東京・銀座や渋谷、新宿を下回る全国最低水準で、国内屈指の商業集積地として存在感が高まっている。(経済部 升田祥太朗)
【地図】こんなにある…コロナ後に心斎橋に進出した主なアウトドア・スポーツブランド
不動産サービスのCBREによると、心斎橋筋商店街で「即入居可能な店舗の空室率」は完全な0%となっている。テナントが退去して空室が出る前に、次のテナントが決まっている状態だ。
同商店街の空室率は、
コロナ禍で休業や撤退が相次いだ2021~22年は20%を超えていたが、
約4年ぶりに0%に戻った。
CBRE関西支社の
中嶋伸嘉氏は
「一つの物件に複数の入居申し込みが寄せられ、貸し手優位の状況だ」と話す。
御堂筋沿いを含む「心斎橋地区」では、
24年4~6月期の即入居可能な店舗の空室率は0・6%だった。
銀座(1%)、
表参道・原宿(0・8%)を下回り、
主要都市(東京、名古屋、大阪、京都、神戸、福岡)の繁華街9地区の中で
最も低かった。
急回復の立役者の一人は、
スポーツ系ブランドの旗艦店だ。
コロナ禍を経て健康意識が高まり、
スポーツ用品の需要が高まっていることが背景にある。
カナダのスポーツアパレルブランド「ルルレモン」は
10月19日、
心斎橋に国内10店舗目となる「ルルレモン御堂筋」を開業した。
売り場面積は通常の店舗の2倍となる約600平方メートルで、
東京・渋谷と並ぶ国内最大級の旗艦店と位置づける。
ヨガや
ゴルフ、
ランニング
向けウェアのほか、
日常使いができる衣料品など品ぞろえを充実させた。
米ニューバランスも9月下旬、
心斎橋筋商店街で西日本最大級の店舗面積を持つ旗艦店をオープンさせた。
台湾や中国、韓国を中心に訪日外国人客が売り上げの6割を占めると見込む。
日本法人の中塚博・シニアマネジャーは、
「来年の大阪・関西万博では国内外から多くの人が訪れる。我々のブランドを成長させていく拠点にしたい」と話す
スポーツ大手では、
23年11月にミズノが、
24年1月にはナイキが
それぞれ新店を開業した。
CBREによると、
同商店街で
「アウトドア・スポーツ」に分類される店舗は
12店で、
コロナ禍直前の19年末の6店から倍増した。
アパレルの大量廃棄が社会問題化する中、
中古ブランド店など「リユース」も
8店から14店に増えた。
コロナ前に「爆買い」需要で拡大が続いていた
「ドラッグストア」は17店で、
横ばいの状況となっている。
一方で、
「ファッション」は
65店から56店に減少した。
靴下や下着、
低価格を売りにするブランドの退店が
目立っている