時価総額1兆円超え、株価約5倍

でも「認知ない」。

 

創業140年企業

 

アンチヒーロー主演起用で初CMのワケ

三ツ村 崇志

 

 

時価総額1兆円超え、株価約5倍でも「認知ない」。創業140年企業がアンチヒーロー主演起用で初CMのワケ

 

 

CM起用された、フジテレビ『ブルーモーメント』のメインキャストを務めた出口夏希さん(左)と、映画『シン・ゴジラ』、TBS日曜劇場『アンチーヒーロ』で主演を果たした長谷川博己さん(右)。テレビCMは10月3日から放送が開始される。

 

 

 

 

 

時価総額1兆4700億円、

 

しかも株価は2024年1月以来、

 

9カ月で約5倍に……

 

いかにも「成長著しい若手企業」を思わせる実績。

 

 

しかし、実はこれは2025年に

創業140年を迎える

 

電線大手・フジクラの業績だ。

 

 

 

同社はこの秋から、140年の歴史で初めて全国放送のCMをはじめる。岡田直樹社長はその背景を「140年の長い歴史はあるのですが、あまりに世間に知られてない」からだと言う。

世界的に実績のある老舗BtoB企業が、なぜいまお茶の間の露出を狙うのか。

生成AI需要で業績は急成長も「知られていない

 

 

 

フジクラの岡田直樹社長。フジクラは2025年に創業140年を迎える。

 

フジクラは、

 

電線や

 

光ファイバーなどの

 

「線材」を主な商材とする電線メーカーだ。

 

 

未来のエネルギー源として期待されている核融合発電の実現に必要とされる

 

超電導線材の事業にも注力。

 

京大発核融合ベンチャーの

 

京都フュージョニアリング

 

へ出資・協業したり、

 

アメリカMIT発の核融合ベンチャーである

 

コモンウエルス・フージョン・システムズ

 

への超電導線材を納品したりと、

 

「核融合銘柄」としても存在感を放つ。

 

 

昨今の生成AI需要の拡大によって、事業は大きく成長している。

 

 

フジクラの2024年3月期の通期決算では、

 

売上高7998億円、

 

営業利益が695億円と

 

過去最高だった前年の水準を維持。

 

純利益は510億円

過去最高を3期連続で更新した。

 

 

8月に発表された2025年3月期の第1四半期決算でも、

売上高は前年同四半期から15%増となる2183億円。

 

営業利益では同四半期比でほぼ倍増した。

 

これを受けて2024年度の業績予想を上方修正し、

 

純利益は過去最高の600億円(修正前は500億円)となる見通しだ。

 

 

好調の第1四半期決算後に、

株価は約2500円から4000円台にまでジャンプし、

9月27日には、

上場来最高値の5103円を記録した。

 

年初来安値が1月4日の1075円だったことを考えると、9カ月間で株価が5倍近く上昇したことになる

 

 

 

 

2024年1月4日段階での株価は約1000円。9月末頃に5000円付近まで上昇した。

 

 

 

 

 

140年の歴史を背景に

 

国内外で100を超えるグループ企業も有し、

 

売り上げ比率も海外が7割と多数を占める。

 

 

世界的にも一定の認知は獲得できているようにも思えるフジクラが、なぜ創業以来初の全国CMを打ち出してまで認知を広げようとしているのか。

 

 

 

岡田社長は、

「結構、 例えば学生さんもアンケートと取ると結構知らない方が多い。年配の方々は(祖業の)『藤倉電線』と言えばピンとくるのですが、フジクラとしはまだまだ知名度が足りていない」

と、事業が変化していく過程で認知されてこなかった現状があるとした上で、

「 昨今、日本国内では特に人材を採用することが非常に厳しくなっていますので、学生もそうですが、そのご家族の方にも知っていただくのも重要かなという風に思っています」

と、人材の取り合いが生じる中での、いわゆる「親ブロック」を未然に防ぐためにもCMを活用していきたいとした