土砂ダムの仮排水路が能登豪雨で損壊、集落に土砂流れ込む

佐藤 斗夢

 

日経クロステック/日経コンストラクション

  

筒井 爽人

 

日経クロステック/日経コンストラクション

 

 

土砂ダムの仮排水路が能登豪雨で損壊、集落に土砂流れ込む | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

 

 

 

 

記録的豪雨に見舞われた石川県輪島市の市ノ瀬町では、2024年1月の能登半島地震で生じた河道閉塞(土砂ダム)によって形成された湛水(たんすい)池の水を下流に流す仮排水路が損壊し、土砂が集落に流れ込んだ。本復旧の着手が遅れる可能性がある。

仮排水路の損壊した左岸。水が外に漏れ出している。2024年9月25日撮影(写真:日経クロステック)

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 1月の地震によって市ノ瀬町を流れる紅葉川に、斜面崩壊で生じた土砂が流れ込み、周辺に約166万m3堆積した。土砂は家屋や田畑にまで流れ込み、2人が死亡、1人が行方不明となっている。紅葉川では大規模な河道閉塞が生じ、湛水池が形成。そのまま放置すれば降水などで土石流の発生につながる恐れがあった。

 

 

 

土砂ダムの様子。被災前の2024年9月19日撮影(写真:日経クロステック)

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全長575mの仮排水路を整備

 そこで、国土交通省は全長575mに及ぶ仮排水路を整備し、湛水池の水をくみ上げて下流部に流すことを決めた。鹿島が施工を手掛け、24年5月末に完成。仮排水路は、地表にコンクリートを吹き付けた水路を整備した上層と、薬剤を加えて改良した砂の中に配置した管が通る下層から成る。通常時は下層、流量が増した場合は上層にも水を流す。

 

 

 

 

被災前の仮排水路で水を流している様子。2024年9月19日撮影(写真:日経クロステック)

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被災前のコンクリートを吹き付けた水路の様子。通常時は下層の管内に水を流す。2024年9月19日撮影(写真:日経クロステック)

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 25年度初めに本復旧工事に着手し、紅葉川の元の河道に沿って新たな排水路を造り付け替えてから、既存の仮排水路を撤去する計画だった。

 だが、24年9月20日から能登半島で約3日間降り続いた大雨に伴い、湛水池の一部が崩落したことに加え、流量が増えたことにより仮排水路が損壊。紅葉川の下流部に位置する集落に、土砂が混じった水が流れ込む事態に陥った