本復旧の着手目前に仮設護岸が流失、能登豪雨で震災復旧に遅れ

佐藤 斗夢

 

日経クロステック/日経コンストラクション

 

 

 

石川県能登半島を襲った記録的豪雨により、2024年1月の地震からの本復旧に着手する直前だった河川工事の現場が再び被災し、仮設護岸が流失した。設計見直しが必要になるほどの深刻な被害だ。同様に多くの現場が被災しており、復旧工事の遅れにつながる可能性がある。

河川護岸が流失した河川工事の応急復旧現場。水みちを確保できるように、重機を使って流失した箇所などをならしている。2024年9月25日撮影(写真:日経クロステック)

河川護岸が流失した河川工事の応急復旧現場。水みちを確保できるように、重機を使って流失した箇所などをならしている。2024年9月25日撮影(写真:日経クロステック)

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 能登半島地震で被災した石川県輪島市と珠洲市、能登町の3市町。この地域では、24年9月20日から約3日間降り続いた大雨により、河川の氾濫や土砂崩れなどが相次いだ。地震の復旧現場でも仮設材の流失や破損、土砂の流入などが発生した。

ふとんかご約190個流失

 特に被害が大きかったのは、県からの権限代行を受けて国土交通省が復旧を進めていた現場だ。例えば、輪島市を流れる河原田川の復旧現場では、熊野神社付近に架かる宮前橋の上流側の両岸にそれぞれ1カ所、下流側の右岸に1カ所の計3カ所で増水による河岸の浸食が起こった。施工者は鹿島だ。

発災時の宮前橋上流部の右岸。河川の増水によって浸食されている(写真:国土交通省北陸地方整備局)

発災時の宮前橋上流部の右岸。河川の増水によって浸食されている(写真:国土交通省北陸地方整備局)

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 宮前橋の上流部では、地震による斜面崩壊で河道が閉塞したので、別位置に河道を付け替える工事を実施していた。新たな河道の掘削に加え、自然石や流速が速い箇所には「ふとんかご」を積み、高さ約3mの仮設護岸を構築する作業までを完了していた。10月から本復旧に着手し、仮設護岸を撤去してから護岸ブロックを設ける予定だった。

 そうした本復旧の着手直前の現場で河道浸食が起こり、整備済みの仮設護岸が流失した。天端を超える水量だったと見られる。このうち、約240個設置していたふとんかごのうち約190個が流され、護岸としての機能を喪失した。

宮前橋の上流部で、ふとんかごが流失したと見られる箇所。該当部を赤枠で囲んだ。2024年9月25日撮影(写真:日経クロステック)

宮前橋の上流部で、ふとんかごが流失したと見られる箇所。該当部を赤枠で囲んだ。2024年9月25日撮影(写真:日経クロステック