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福利厚生費「半額」サービスも 広がるアルバイト“厚遇”【WBSクロス】
今回のテーマは「アルバイト厚遇」です。人手不足が正社員だけでなく、アルバイトなどの非正規労働者でも深刻化する中、その待遇を手厚くすることで、人手の確保や定着を図る企業が増えています。一方で、賃上げの原資確保が厳しい企業では、実質的な賃上げ効果を別の手段で図ろうとする動きも広がっています。
大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン。
ここで働くアルバイトはおよそ1万2000人で、
全従業員のおよそ8割を占めています。
恐竜映画「ジュラシック・パーク」のエリアで客に笑顔を振りまいていたのは愛知県出身の田中心音さん(19)。
昨年、手厚い待遇でアルバイト採用されました。
「助かったのは引っ越しの補助。
今で言うと家賃補助が大きい。
半分くらいは補助してもらった」(田中さん)
運営会社のユー・エス・ジェイは去年、
愛知など大阪以外の6カ所で初となる採用選考会を実施。
週5日勤務するアルバイトを対象に、
家賃の半額補助や引っ越し費用の補助、
さらには祝い金10万円を支給し、
100人以上を採用しました。
この待遇が後押しになったと田中さんは言います。
「親元を離れることが特に不安だったので、今回補助があって本当に助かった」(田中さん)
ユー・エス・ジェイはこの手厚いアルバイト採用を
今年も実施。
祝い金はなくしますが、
それ以外は継続します。
「(選考会場は)東京、横浜、名古屋、広島、岡山の5都市。首都圏で(USJで働きたいという)大きなニーズがあるのではないかと考えた」(「ユー・エス・ジェイ」人事部の大河原貴信課長)
手厚い待遇のアルバイト採用を続ける背景にあるのが、
来年開かれる大阪・関西万博。
万博が募集するスタッフの時給は1850円で、
関西の平均時給の5割も高い水準です。
こうした中、
USJでは
去年から従業員食堂を自社運営に切り替え、
日替わり定食を360円で提供するなど、
更なる待遇の改善を進めているのです。
「本当にアルバイトの待遇改善は絶対に必要。
パークの発展に貢献してもらえる人材の採用を進めていきたい」
(大河原課長
対策に悩む企業も
「ベネフィット・ワン」のサービス。アルバイト・パートは正社員の最大半額に。
ただ全ての企業が大きな金銭を投入できるわけではありません。
年間2000戸以上を手がけるハウスメーカー「アイダ設計」。
茨城工場で働くおよそ80人のうち、
アルバイトは50人近くを占め、
欠かせない存在です。
しかし待遇改善には壁があります。
「前々期(23年3月期)に(原材料高騰などで)大幅な赤字を出した」(アイダ設計の曾田大輔専務)
直近では黒字回復できましたが、
アルバイトへの大きな投資がしにくい状況です。
そのアイダ設計にやってきた男性、
企業の従業員向けに福利厚生サービスを提供する「ベネフィット・ワン」の営業担当者です。
提案したのは、去年4月に始めた福利厚生の企業のコスト負担が
正社員と比べて最大50%安くなるというサービスです。
「この最大50%の割引というところ、
アイダ設計はどのぐらいの割引?」(アイダ設計の曾田専務)
「(アルバイトの)人数や就業時間に応じて20%か30%ぐらいの割引は提供できるかと」(「ベネフィット・ワン」営業本部の藤田遼河さん)
ベネフィット・ワンの福利厚生サービスを導入した企業の従業員は
140万件以上の割引サービスを利用可能になります。
例えば飲食店の料金が10%安くなるといった内容です。
企業は従業員の人数に応じた会費を支払いますが、
アルバイトであれば社員の半額の1220円からで済むのです。
賃上げより会社の負担が少ないとみて、
アイダ設計は前向きに検討を進める考えです。
今、ベネフィット・ワンが手がける
パート・アルバイト割に多くの企業から引き合いが来ているといいます。
「正社員よりも元々パート・アルバイトの非正規労働者は流動性が高い。簡単に辞められてしまうので、まずはここを定着させるのがプライオリティー(優先順位)が高い。これだけインフレと大騒ぎしているので、効率よく可処分所得を上げていくと」(ベネフィット・ワンの白石徳生社長)
可処分所得を上げるとはどういうことなのでしょうか?
3000人以上のパート従業員に
ベネフィット・ワンの福利厚生サービスを導入する富士薬品を
訪ねるとパート従業員からは
「クーポンを見せると、(家族)全員分のデザートがサービスされたりする」
「家族で出かけるときの水族館や遊園地のクーポン(など利用する)。
小さな(割引)サービスであっても、回数を重ねると大きい」と声が上がります。
他にも動画配信サービスの割引など日常生活で使える割引を活用することで、
可処分所得のアップが期待できるといいます。
さらに「仕事と介護、育児といったものを福利厚生サービスを使って、
少しでも支援できれば」(富士薬品の森島將人人事部長)といいます。
例えば全国1000カ所以上の拠点で子供を預かってもらう際、
毎月3000円の補助が受けられるというもの。
こうした育児や介護の割引サービスの充実がパートの定着や採用に繋がると期待しています。
「福利厚生サービスのPRこそ、働く先を選択してもらう一つの差別化になるのではないか」(森島人事部長)
ベネフィット・ワンでは、
アルバイトの待遇改善はさらに広がるとみています。
「労働集約型のサービス業、飲食や宿泊、あるいは小売りは一番パート・アルバイトの比重が高い業種。
インフレによって(福利厚生の)ニーズがより高まった感覚がある」
(ベネフィット・ワンの白石社長)