大谷翔平に続く逸材となるか

米紙の報道「佐々木朗希は日本の慣習を破り、今オフにメジャーへ移籍する

 
Photo: Joshua Mellin for The Washington Post

 

ワシントン・ポスト(米国)

 

Text by Chelsea Janes

 

早期のメジャー入りを熱望しているとされる千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手。MLB球団側もその才能を認め、今オフシーズンにもポスティングシステムを利用して彼の獲得を目論んでいると、米紙が報じている。

 

耐え難い義務的な「待機の時間」


次なるビッグスターが誕生しようとしている。誰もがそれを知っているが、本人が黙っているので、誰も口には出さない。本人が公言しないのは、日本には野球のスター選手が早々に母国を去るのを良しとしない風潮があるためだ。

身長192センチの右腕、佐々木朗希(22)は一日も早いメジャーリーグ(MLB)入りを目指している。本人がそれを熱望し、MLB側もその才能を渇望しているため、彼が慣習を破ってメジャーに移籍するのはほぼ確実とみられている。

佐々木はいま千葉ロッテマリーンズでプロ5年目のシーズンを送っている。球速は最速165キロ。鋭く落ちるフォークで打者を圧倒する。MLBの球団幹部たちは何年も前から彼に注目してきた。
 

その幹部らがいまなお確信を持てずにいるのが、佐々木が「いつ」太平洋を渡ってメジャーリーグ入りを果たすかということだ。それでも、複数の球団幹部、スカウト、エージェントと話すなかで、その計画はだんだんと見えてきた。

MLB各球団は、佐々木が海外フリーエージェント(FA)の資格を得る前の今オフシーズンにも、ポスティングシステムを利用して彼の獲得を目論んでいるというのだ。ただし、いまのところ佐々木もロッテもそれを認めてはいない。

メジャーへ向けた佐々木の慎重な動きは、現行の制度に対する挑戦としても注目されている。現制度では、選手は所属球団が準備が整ったと判断するまで移籍を待たねばならない。

仮に25歳未満でMLBに移籍した場合、入団時の契約金には上限があり、年俸額も新人並みとなる。新人待遇となれば、送り出した日本側の球団も少額の譲渡金しか受け取れない。

これまで25歳未満で日本を離れたのは、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平だけだ。ただし大谷の場合、その類まれな才能ゆえに誰もが渡米の準備は整っているとみていた。
 

だが、ますます多くの日本人選手がメジャーで活躍するにつれ、選手とMLB球団の双方にとって、この義務的な「待機の時間」は耐え難いものとなっている。日本の球団にとっては不都合な現実だが、才能が慣習を凌駕しはじめているのだ。

日米双方の球界関係者は、佐々木の置かれた状況を現在進行中の変化の産物であると同時に、来たるべき変化の前兆と捉えている

 

 

ロッテとどんな契約を結んでいるのか


佐々木本人への取材を試みたが、所属チームのロッテから許可は出なかった。だが、たとえ取材が実現したとしても、周囲にとっては公然の秘密である「日本プロ野球の長年の伝統を破ってでも、一刻も早く大リーグでプレーしたがっている」という本音を、彼が公の場で認めることはないだろう。

一方、ロッテのチームメイトで、メジャーで8年間プレーした経験を持つグレゴリー・ポランコは佐々木についてこう話す。

「彼は毎日メジャーリーグのことを聞いてきますよ。僕を見ると、ふざけて『(MLBの)この球団に行くぞ! あの球団に行くぞ!』って言ってくるんだ。もう行く気満々ですよ」

 

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