改正建設業法や新外国人制度で変わる働き方、国会成立した建設関係法案

門馬 宙哉

 

日経クロステック/日経コンストラクション

 

 

 建設業労働者の処遇改善や円滑な価格転嫁を促す改正建設業法などが2024年の通常国会で成立した。同国会では、外国人労働者の新たな受け入れ制度を設けるために技能実習法なども改正。排他的経済水域(EEZ)での洋上風力発電を可能にする改正再エネ海域利用法も成立した。

2024年通常国会で改正した各法の概要(出所:日経クロステック)

2024年通常国会で改正した各法の概要(出所:日経クロステック)

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 建設業法と入札契約適正化法は建設現場の労働者へ賃金を行き渡らせることを主眼に改正。不当に低い請負代金や著しく短い工期での契約締結を、従来の発注者だけでなく受注者にも禁止した。

 工事の請負契約に詳しい上智大学法学部の楠茂樹教授は、「建設業法では基本的に建設事業者の義務を定めるため、発注者による地位の不当利用に対して、これまでほとんど機能していなかった」と話す。受注者側にも不当に低い金額での契約締結などを禁止することで、発注者や元請けとの交渉の場で法令に基づく主張が可能となる。

 請負代金が著しく安いかどうかは「標準労務費」を基に判断する。標準労務費は、学識経験者や建設工事の発注者、建設会社などの委員で構成する中央建設業審議会が作成・勧告する。

労務費確保のイメージ。労務費の基準として中央建設業審議会が「標準労務費」を作成・勧告する。著しく低い労務費での請負契約を禁止し、技能労働者の処遇改善を図る(出所:国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成)

労務費確保のイメージ。労務費の基準として中央建設業審議会が「標準労務費」を作成・勧告する。著しく低い労務費での請負契約を禁止し、技能労働者の処遇改善を図る(出所:国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成)

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 資材高騰に伴う人件費へのしわ寄せを防ぐ環境も整える。請負契約の締結前に、資材高騰などが請負額に影響を及ぼすリスク情報を発注者に提供し、請負代金などの変更方法を明確にすることを受注者に義務付けた。発注者に対しては、請負契約の締結後に受注者から変更方法に従った申し出があった場合、誠実に協議に応じることを努力義務とした

 

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