資産270億円cis×利益100億円テスタ対談「cisさんが長期保有で買ったことがある銘柄」は?

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cisさんとテスタさん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)

 

 

 

 

総資産270億円のレジェンド投資家・cisさんと利益100億円投資家のテスタさんの対談第3回(全4回)。今回はcisさんが長期保有している個別株(銘柄名入り)の話、最近のcisさんの「投資へのモチベーション度合い」について。cisさんモチベ全盛期の話もおもしろい! 

 

 

【写真】cisさんテスタさんの対面写真はこちら! 

(本記事はアエラ増刊「AERA Money 2024春夏号」掲載対談の続編として未公開部分まで載せています) 

 

 

 

【cisさんが長期投資中の銘柄編】 (編集部)テスタさんは長期投資もしていらっしゃいますが、cisさんは? (cis)5分で売ったり買ったりはもうできないんで、いろんなことを分析して、どっしり構えた投資も本格的にやったほうがいいのかなと思ってはいますね。長期投資で何銘柄かは持ってるけど、うまくいくかどうかわからない。 (テスタ)たとえば、これまでどんな銘柄を買いましたか? (cis)菅(義偉〈すがよしひで〉)前首相が2018年(官房長官時代)に携帯電話料金を下げろ」みたいなことを言って、ソフトバンク、KDDI、NTTドコモ(2020年12月25日上場廃止)がめっちゃ下がったとき、「ちょうどいい買い時かな~」って、配当利回りも見て買ったことはあります。 携帯料金を下げたら利益は少なくなるかもしれないけど、格安携帯の会社がもっとギリギリで経営されているのに比べればマシかなと。 (テスタ)なるほど。 

 

 

 

■任天堂2兆円台で買い (cis)日本の会社だからって日本の中だけで経営や経済が動いているわけじゃないし、政治家が無理やり企業の利益を落とすのにも限界あるかな、とも思ったな。 携帯キャリアという業態は世界的に見ても大きいと思ったのも買った理由です。 (テスタ)携帯キャリアの株以外では? (cis)昔、任天堂が「ポケモンGO」で世界的に人気だったとき、時価総額が2兆円台(2024年4月現在、約10兆円)だったのね。2兆円でスーパーマリオやポケモンのコンテンツを持ってるのって安いんじゃないかと思って(任天堂を)買いました。 自分なりにこの企業はよさそうという銘柄を長く持ってるけど、どうなるかな。今のところ任天堂はうまくいってます。携帯(キャリア)の株はインデックスと同じか、それよりちょっと下ぐらいしか利益がない

 

 

 

(編集部)テスタさん、読者の代わりに「cisさんの視点」を聞いてますね(笑)。 【cisさんのモチベーション編】 (テスタ)2023年3月の「投資戦略フェアEXPO2023」というイベントでひろゆき(西村博之)さん、むらやんさんと一緒にオンラインでcisさんとお話をさせてもらいましたよね。 「全盛期のモチベーションを10とすると、今はどれぐらいですか」と質問したら、cisさんは「今は1以下」っておっしゃいました。 ―つまり全盛期と比べて今は10分の1しかモチベーションがない、と。 

 

 

 

 

 

■今もモチベ10分の1 (テスタ)最近はその(モチベーションの)数字ってどれくらいですか? (cis)最近も1ぐらいかな。だって全盛期は楽しくて楽しくて。朝9時から午後3時の場中(取引時間中)なんて一瞬で終わって、「あれ、もう終わり?」ってなってたから。 (テスタ)イベントで話したときが「0.8」だとしたら、そこからは減ってますか? 増えてますか? 同じですか? (cis)低空飛行。今も同じ。 (テスタ)そこからさらに下がって「ゼロすれすれ」にはなってないんですね。 (cis)うん、そうだね。 (テスタ)cisさんは「自分の中で何かしら大チャンス(の投資先)が見つかったら、全資産に近い金額を投入して大勝負してもいい」っておっしゃってました。その気持ちも変わらないですか? (cis)やりたいよね。「うわっ、これ、行くしかないだろう」って思いたいよね。そう思えるチャンスが来てほしい。 (テスタ)ここ数年で、それに「近いもの」もなかったですか? (cis)この前、日経平均が3万4000円を超えたところで相当買ったんだけど、そのときは本当に何回もナミナミ(レンジ相場で細かく上下動すること)で、かなり損切りもした。 日経平均の先物ラージも200~300枚スタート(投資金額にして約70億~約100億円)で、下がったらすぐ損切りする前提だったけど。少し余裕ができたら、また200枚、300枚と買い増し。 (テスタ)日経平均先物で数百億円を動かした

 

 

 

(cis)まあ、先物だから。リスク的にはだいたい日経平均の40~50%オフになるイメージでしょ。全財産のリスクを取ってるわけじゃない。 (テスタ)全財産のリスクを取りたいと思ってるんですか? (cis)めちゃくちゃいいときがあったらね。10億円ぐらいは手元に置いといて(笑)。 (テスタ)10億円ぐらいじゃ、今のcisさんの生活は支えられないじゃないですか(笑)。 (cis)大勝負をしてそれが完全敗北してしまったならば、もう節約するしかない(笑)。 (テスタ)節約を覚悟してまで(相場を)張る必要はないように思うんですけど。 (cis)だから相当なチャンスじゃない限りはやらずに、じわじわ増やす。もしこれから先、海外と国内の要因が何らかの理由で全部重なって、自分なりに「行くしかない」と思ったらやる。

 

 

 

 

 ■寝る間際まで株価 (テスタ)cisさんはまだ資産を伸ばそうとしてるんですね。モチベーションも10分の1以下っておっしゃるし、もうcisさんはお金を増やすつもりがないのかなと思ってました。 (cis)10分の1っていっても、全盛期のときが普通の人の100倍だから。そこからすると、普通の人と比べたら今は10倍なのかもね(笑)。 (テスタ)実は10倍ですか(笑)。 (編集部)全盛期のときの「普通の人の100倍」も気になります(笑)。 (cis)全盛期は、寝るとき、横にパソコンのモニターを置いて、マイクロソフトとかアメリカ株の銘柄の値動きを表示させて、それを見ながら「あ~上がってんな~、下がってんな~」って眺めながら寝るのが日課だったよ。 (テスタ)寝る間際までアメリカの株価をチェックしたかったんですね(笑)。 (cis)それが楽しかったんじゃない? 値動きがおもしろいから覚えられる。覚えると、うまくいくから楽しくなる。楽しいからずっと見てるっていう、いい循環だよね。 仕事というより趣味みたいなもんで。だって意味ないじゃん、寝る前までモニターで株価見ても(笑)。 (テスタ)誰よりも気になるから(笑

 

 

 

(cis)もっときれいな画面で見たくなって、寝るとき用にいいパソコンを買ったのよ。そうしたら結構、音がするわけ。「さすがにうるさくて寝れねぇなぁ」って(笑)。 今度はスペックが低くて音も静かなパソコンを買い直して、アメリカ監視用に使ってました。 (テスタ)おもしろすぎる。 ※第4回目(最終回)に続きます ​ (構成/安住拓哉、中島晶子・AERA編集部) ***** cis(シス)/1979年3月生まれ。法政大学卒業後、会社員として働く傍ら、2002年に貯金300万円を元手に株式投資をはじめる。資産6000万円に到達した2004年に会社を辞め、専業トレーダーに。2007年に50億円の資産を築き、デイトレーダー界のスターになる。X(旧Twitter)のフォロワー数は62万人超(2024年4月現在)。2024年3月現在の資産は「270億円ぐらいかな」。メディア取材はほぼすべて断っているが、今回の対談は特別 テスタ/兵庫県生まれ。2005年に株式投資の世界に飛び込み、専業トレーダーに。最初はスキャルピング(超短期取引)を中心としたデイトレードからスタート。ITバブル崩壊、リーマン・ショックなど、幾多の市場暴落で退場するトレーダーが続出する中、寡黙に荒波を乗り越えてきた。2021年8月に総利益50億円を達成、2024年2月に同100億円を達成。投資先のメインは日本株、先物 編集/綾小路麗香、伊藤忍 ※『AERA Money 2024春夏号』から抜粋

中島晶子,安住拓哉

 

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