リニア品川新駅で既存駅地下に巨大構造物、地上建物を460m仮受け

佐藤 斗夢
 

日経クロステック/日経コンストラクション

 

 

 

東海道新幹線の軌道とJR品川駅ビルの直下で、リニア中央新幹線の新駅の建設が進む。建物を延長約460mにわたって仮受けし、巨大な地下構造物を造る。施工では、新幹線の運行などへの影響を避ける様々な工夫を凝らす。
 
 
 

 リニア中央新幹線の品川新駅の建設現場では時折、話し声が聞こえなくなるほどのごう音が鳴り響く。約13m真上を走る東海道新幹線の走行音だ。新幹線の軌道を仮受けする仮設の「工事桁」の隙間から、車両が動く姿を目にすることができる。

非開削工区のたて坑内の様子(動画:大村 拓也)

 

 

 

 

東海道新幹線が走る真下でリニア中央新幹線の駅舎工事が進む。写真は非開削工区のたて坑内。上部に見える黒色の部材が工事桁だ。既設の地中梁の上に架かる(写真:大村 拓也)

東海道新幹線が走る真下でリニア中央新幹線の駅舎工事が進む。写真は非開削工区のたて坑内。上部に見える黒色の部材が工事桁だ。既設の地中梁の上に架かる(写真:大村 拓也)

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 この現場は新駅建設の全3工区のなかで、最も名古屋側に位置する「非開削工区」だ。東海道新幹線の品川駅の直下にリニアの駅舎となる函体(かんたい)を造る。函体は、北工区の東京側端部から、非開削工区のたて坑部に至る延長約400m、幅最大60m、高さ約40mの巨大な構造物だ。

 

 

 

リニア中央新幹線の品川駅建設工事のイメージ。3工区に分けて、地下函体とトンネルを造る(出所:JR東海の資料を基に日経クロステックが作成)

リニア中央新幹線の品川駅建設工事のイメージ。3工区に分けて、地下函体とトンネルを造る(出所:JR東海の資料を基に日経クロステックが作成)

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 発注者のJR東海土木工事部の秋本直人担当部長は、「供用中の駅の地下に、これだけ大規模な函体を造る工事は非常に珍しい」と語る。

 函体の施工はまず、既存の品川駅よりも外側に地中連続壁を約60mの深さまで築く。

 

 

 

 

非開削工区のたて坑内で地中連続壁を構築している様子。左手に見えるのが掘削機(写真:大村 拓也)

非開削工区のたて坑内で地中連続壁を構築している様子。左手に見えるのが掘削機(写真:大村 拓也)

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 地中連続壁の施工に当たっては、既設駅ビルの杭間12.5mで鉛直変位の差を3.9mm以下に抑える。受発注者間で議論を重ね、駅ビルと軌道それぞれの基準値のうち、より厳しい駅ビルの値を選んだ。変位量を24時間自動で計測する機器を導入して、連続壁以外の工程でも事前に変位量の予測を立てて、必要に応じて抑制策を講じる。

 非開削工区の施工を手掛ける安藤ハザマ品川出張所の山口芳範所長は、「東海道新幹線は社会的に非常に重要な交通インフラだ。運行に支障を来さないように、様々な策を施した」と強調する

 

リニア品川新駅で既存駅地下に巨大構造物、地上建物を460m仮受け | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)