国立競技場の民間運営者にNTTドコモや前田建設工業など、運営権対価に528億円
小山 航
日経クロステック/日経アーキテクチュア
国立競技場の民間運営者にNTTドコモや前田建設工業など、運営権対価に528億円 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
日本スポーツ振興センター(JSC)は国立競技場の運営について、NTTドコモを代表とするコンソーシアムを優先交渉権者に選定したと2024年6月3日に発表した。コンソーシアムのメンバーは同社の他、前田建設工業(東京・千代田)、SMFLみらいパートナーズ(東京・千代田)、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)。24年9月に実施契約を締結し、25年4月の運営開始を目指す。事業期間は30年間だ。
同コンソーシアムは運営権対価として、税込み528億円を提示した。契約に至れば、コンソーシアムが運営費を全額負担することになるため、運営に関する公費負担はゼロになる見通しだ。事業用地の賃料などはJSCが引き続き負担し、用地の一部を所有する東京都、新宿区、渋谷区に支払う。
日本スポーツ振興センターの発表資料。公募には3つの企業グループが応じた(出所:日本スポーツ振興センター)
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NTTドコモを代表とするコンソーシアムが発表した事業イメージ。左が大型ビジョンを設置した様子。中央がVIPルーム、右がグループ席(出所:NTTドコモ)
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コンソーシアムは民営化に向けて、3つの事業ビジョンを掲げた。「グローバル型のビジネスモデル導入による経営革新」「国内スポーツ界の発展を牽引する、スポーツの聖地化」「ボーダレスなつながりと交流を生み出す、国民に愛されるスタジアム」だ。
快適な競技環境を整備して、スポーツ大会の決勝戦などの大規模なイベントを開催しやすい環境を整える。他にも、プロ・アマチュア問わず様々なスポーツの大会やコンサートなどのイベントを開催し、国際水準の体験ができるように大型ビジョンやグループ席の新設、VIPルームの増設を計画している。
NTTが推進する次世代ネットワーク構想「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network、アイオン)」の技術を導入し、スマートスタジアムの実現も目指す。コンソーシアムは、「国立競技場を起点とした日本のスポーツ文化の改革を推進する」とした。
JSCは、施設の運営権を民間事業者に売却し、効率的な運営を図るコンセッション(公共施設等運営権)方式を採用。23年7月に民営化に向けて事業者の公募を開始した。JSC広報室は、「運営に関する公費負担がなくなることも含め、民営化に向けて一歩進んだことは喜ばしい」と、コメントする