パリの就職事情、メキシコの福利厚生、ドイツの春の名物

“海外に住んでいる日本人”に聞いてみた「世界のリアルな住み心地

 
 

パリ観光で図書館はいかが?


パリ在住の中村まゆ美さんは、図書館を紹介しています。近年では、日本でも近代的でおしゃれな図書館が増えてきましたが、パリのものは歴史も感じさせるヨーロッパならではの造りになっているようです。

「先日、9区にある図書館に行ったのですが、パリに20年住んでいる私でも、びっくりするような素敵な場所でした。図書館のなかはというと──シャンデリアが飾られ、上を見上げれば優雅な天井画が。ニクイことに、椅子はポップな原色でその組み合わせもなかなかです」

パリには街中に図書館があり、1回で40冊まで借りることができるのだとか。観光スポットではありませんが、「暮らすように旅をする」のが好きな方には、ぴったりの場所かもしれません。
 

「天候が許せば、サンドイッチを持って図書館前にあるベンチで昼ごはんというのも、また違ったひとときが過ごせますよ。ちなみにここは、モンマルトルの丘の近くです!

 

 

 

 

ドイツの春は「白アスパラガス」祭り


ドイツの春の名物といえば、白アスパラガス。デュッセルドルフ在住のヤマザキメグミさんが、この旬の野菜について解説してくれています。

ドイツで採れる「まっすぐで太くて皮がついて」いる白アスパラガスは、「まるでとうもろこし」のような味わいなのだとか。

スーパーには白アスパラガスの皮を剥く機械まで登場するそうで、家でも簡単に調理することができます。茹でてもよし、オーブンで焼いてもよし、炒め物にしてもよし。「家で調理するのが一番美味しくコスパがいい」とヤマザキさんはいいます。

とはいえ、旅行で自炊をするのは難しいという方もいるかもしれません。そんな人でも大丈夫。4〜6月中旬にかけて、レストランでは「白アスパラガス祭り」になるので、存分に楽しむことができそうです

 

 

 

 

企業があなたの代わりに貯金します


メキシコからはSaoriさんが、メキシコらしい福利厚生について書いています。

「メキシコではある程度規模が大きな企業になるとFondo de Ahorro(社内積立制度)という福利厚生制度を導入しています。これは、毎月会社が従業員の給与から数パーセント天引きした金額に会社から同じパーセント分の金額を上乗せし、年末に払い戻すというもの。13%までは非課税・社会保険料計算の対象外となり、従業員にとってはプチボーナスのようなものです」

興味深いのは、その目的が、日本企業がおこなっているような資産運用ではなく、「貯蓄の支援」だということ。ラテンアメリカの人々は、給料が入ると使い切ってしまう傾向があるそうで、その代わりに会社が貯金をしてくれるというわけです。強制的にお金が貯まる仕組みを作ってくれるなんて、ありがたいですね

 

 

 

 

 

フランス就活は辛いよ


林万紗子さんは、フランスでの就活が難航した事情について説明しています。

「France Travail(ハローワーク)掲載の企業に履歴書を送るも語学力がネイティブレベルにない、知らない電話には出ないからチャンスを逃しまくりで惨敗でした」
 

とはいえ、「フランス語が下手でも大手のスシショップであれば、かなり簡単に就職ができる」といいます。

「Job Dateingという、France Travail主催の集団就職説明会のようなものが開催されていたので、履歴書を持っていざ会場へ。前職がレストランサービスだったので、飲食系で土日が休み、朝から夕方の勤務希望で探し、希望に近い企業に履歴書をどんどん渡していきました。そこで大手企業から採用連絡があったのです」

結局、林さんは1ヵ月ほどでこの会社を退職し、現在は美容師を目指すことになりました。これまでの就活体験をこう締め括っています。

「年を取ってから海外で就活をするのは日本以上にハンデが多すぎて心が折れそうですが、就職も恋愛や婚活と同じ。絶対に譲れない条件や、需要と供給、タイミングとの兼ね合いなので、焦っているときよりも、少し落ち着いているときのほうが良い縁に巡り合えるかもしれないと感じました」

 

 

 

パリ在住の中村まゆ美さんは、フードロス対策を徹底するパン屋さんを紹介しています。フランスでは、年間1人当たり30キロもの食べ物がゴミ箱行きになっているのだとか。そして、温室効果ガスの3%はこの“ゴミ”が原因だといわれています。中村さんによれば、フランス政府は2030年を目処に、フードロスを50%減らすことを目標に掲げているそうです。

そこで、こうしたフードロス対策として誕生したのが「DEMAIN(ドゥマン)」という名前のパン屋さん。

「フランス人にとってパンは、日本人のご飯みたいなもので、毎日の食卓に並ぶ、欠かせないものです。焼きたてのバゲット(長いフランスパン)のおいしいことといったら、誰もがやみつきになってしまうでしょう。でも、翌日にはあの香ばしくおいしかったパンが、見る影もなく、そのままではもう食べられないカチカチの固形に成り果ててしまうのです」
 

そのため、パンは「毎日買うもの」という認識が現地の人には根付いているそうで、その日に残ってしまったパンは捨てられるか、パン屋の店員が自宅に持ち帰っているといいます。そこで、DEMAINでは提携しているパン屋から前日の売れ残りを回収し、ほぼ半額で提供することにしたのです。

「(DEMAINにあるのは)菓子パンや田舎風パンがほとんどで、バゲットは販売していません。売る際には、いろいろな工夫がなされています。たとえば、クロワッサンのように翌日だと食感が大幅に劣ってしまうようなものは、スマッシュクロワッサン(つぶしてバターやはちみつを加えて香ばしくしたもの)にしたり、サンドイッチにしたりして店頭に並べています。ブリオッシュ(菓子パンの一種)は、購入時に温めてくれます」

地球にも消費者にも優しい、一石二鳥の取り組みです

 

 

 

そのため、パンは「毎日買うもの」という認識が現地の人には根付いているそうで、その日に残ってしまったパンは捨てられるか、パン屋の店員が自宅に持ち帰っているといいます。そこで、DEMAINでは提携しているパン屋から前日の売れ残りを回収し、ほぼ半額で提供することにしたのです。

「(DEMAINにあるのは)菓子パンや田舎風パンがほとんどで、バゲットは販売していません。売る際には、いろいろな工夫がなされています。たとえば、クロワッサンのように翌日だと食感が大幅に劣ってしまうようなものは、スマッシュクロワッサン(つぶしてバターやはちみつを加えて香ばしくしたもの)にしたり、サンドイッチにしたりして店頭に並べています。ブリオッシュ(菓子パンの一種)は、購入時に温めてくれます」

地球にも消費者にも優しい、一石二鳥の取り組みです

 

 

 

 

 

自然だけじゃない、デンバーの魅力


米国からは、ワイリック・ミホさんがデンバーの見どころについて説明します。ワイリックさんが住むデンバーは、「年間300日は晴天」といわれているそうです。標高約1609メートルのところに位置し、感覚としては「富士山の5合目あたり」なのだとか。

デンバーのあるコロラド州のイメージは、ロッキー山脈に代表される大自然やスキー場が強いかもしれませんが、クラフトビールの名産地でもあります。なんと、400ヵ所以上もビールの醸造所があるそうです。
 

また「アートディストリクト」と呼ばれる地区もあり、街のいたるところで個性豊かなストリートアートを楽しむこともできるそうです

 

 

 

 

トゥールーズで美容師を目指す


フランスのトゥールーズに住む林万紗子さんからは、就職活動についてレポートが届いています。

トゥールーズに引っ越してから2年のあいだ、就職活動がうまくいっていなかった林さんですが、「France travail(日本でいうハローワーク)」提供の語学講座に参加してから状況は一転。そこから、自国で美容師経験がある外国人が参加可能な職業復帰講座に参加することができたそうです。

「正直、美容師経験はアシスタントとして計2~3年程度で、不安でしかありませんでした。

講座では語学学校で習わない道具の名称や表現、日本とフランスの美容理論の違いに四苦八苦しつつも、唯一自慢できたのがシャンプー技術。日本独特のシャンプー技術に、フランス人もクセになるようです。幸いにも、講座終了後にアシスタント候補の見習いとして、練習先の美容室に就職することができました」
 

そして、こう続けます。

「今後は、美容師としてのデビューを目指していく予定です。それにしても、まさかフランスで、40歳を過ぎて美容師をまた始めるとは思いませんでした

 

 

 

 

米国のイースターは桁違い?


シカゴからも、イースターについての記事が届いています。河合良子さんの家族は、午前中に友人の教会で子供たち向けのエッグハントに参加し、午後は自宅で友達とエッグハントとエッグデコレーションをするそうです。

「スーパーマーケットではエッグハント用にプラスチックのカラフルなエッグが何十個も入った袋や、エッグに入れる小さなお菓子やおもちゃ、エッグに色をつける染料やデコレーション用シールなどが山のように売られています。私も初めて娘とエッグを染めてみましたが、なかなか理想の色にするのは難しく、2人で指先を不気味な色にしながら格闘しました」

キリスト教において、イースターはクリスマスと並ぶ一大イベント。ヘリコプターから卵を撒いて、それを探すというエッグハントのイベントもあるそうです。スケールの大きさが米国ならではですね。

 

 

 

アスパラガスで感じる春


イタリア・オーラでは、「おいしい」春の訪れがあったようです。美波ラーナさんはこう書いています。

「南チロル人が、春がきたと感じるのは『アスパラ販売始まりました』のアナウンスであろう。地理上でもアルプス山脈内に位置することもあり、食文化はゲルマン寄りなので、ドイツのように『白アスパラ』が好まれて食べられる」

そして、「太い白アスパラを、塩と砂糖を入れたたっぷりのお湯でくたくたになるまで茹でて、『ボツナーソース(Boznersosse)』というタルタルソースのようなものをたっぷりかけて食べる」のが「春のご馳走」。

アスパラ専門店に行けば、地元民でいっぱいで、お目当てのアスパラをゲットするにも一苦労のようです。オーラで食べられているアスパラは主に、緑、白、紫の3種類。いわく「紫色のアスパラは茹でると色が緑色になってしまうので、ちょっとガッカリするのだが、話題にするには面白い存在」なのだとか。

「この時期に北イタリアに訪れることがあれば、白アスパラを是非食べてほしいと思う。記憶に残る一皿になること間違いない」

 

 

 

寒い季節のお楽しみ


シカゴ在住の河合良子さんが、2月の米国の2大イベントを紹介しています。一つは、米国最大のスポーツイベント「スーパーボウル」。なんと、約1億5000万人が観戦しているのだとか。

「試合当日はスポーツバーや個人宅でスーパーボウルパーティーなるものが開かれ、大人数でピザを片手にワイワイと観戦するのも流行りです」

試合はもちろんのこと、ハーフタイムショーも目が離せません。
 

「スーパーボウルといえば、壮大な演出と人気アーティストのパフォーマンスが観られるハーフタイムショーも大人気。R&Bとヒップホップ界のスター、アッシャーが出演し、試合を盛り上げました。毎年ハーフタイムショーを見ると米国のエンターテイメントへの莫大な投資に感心してしまいます」

そしてもう一つの大イベントは、日本でもお馴染みのバレンタインデー。米国では、「身近な人への感謝を伝える日」という意味合いが最近は強いのだとか。

「子供の学校ではクラスメイト全員の名前を小さなカードにそれぞれ書き、短いメッセージと共に渡します。そして午後の授業を潰し、各クラスでミニパーティーが開催されます。クラスメイトとしていつも助けてくれてありがとう、といった意味を込めるのです。お互いに感謝する恒例行事です

 

 

 

イタリアに春がやってきた!


イタリアのオーラからは、美波ラーナさんがカーニバルの様子をレポートしています。「カーニバル」と聞くと、ブラジルの「リオのカーニバル」が思い浮かぶかもしれません。記事では、こう説明されています。

「日本語では『謝肉祭』と呼ばれているこの祭り。『キリストの復活の40日前から節制に入る前の祭り』という意味合いがイタリアでは強い気がする。しかし、ゲルマン文化の南チロルでは『ゲルマン人の春の到来を祝う祭り』という解釈もあるのだ」
 

ドイツに隣接するこの地域には、ドイツ語学校とイタリア語学校があり、学校によって子供の仮装のタイプも違うようです。

「ドイツ語学校の子たちは南チロルの風習に倣った仮装である一方、イタリア語学校の子たちはスパイダーマンやら海賊など思い思いの仮装をしており、この辺からしても南チロルとイタリアとのカーニバルの解釈の違いがよくわかる」

一言で「カーニバル」といっても、国だけでなく地域によって捉え方も、お祝いの仕方もそれぞれ違うのです。

 

 

“海外に住んでいる日本人”に聞いてみた「世界のリアルな住み心地」2月編 | クーリエ・ジャポン (courrier.jp)