塀の中」から選挙運動する? 有罪評決でトランプ氏はどうなる
不倫の口止め料支払いをめぐる裁判で出廷したトランプ前大統領=米ニューヨークで2024年5月31日、AP
11月の米大統領選で返り咲きを目指す共和党のドナルド・トランプ前大統領(77)が、不倫相手に支払った口止め料を不正に会計処理したとされる事件で有罪評決を受けた。大統領経験者が刑事事件で初めて有罪評決を受けるという異例事態だ。今後の選挙運動はどうなるのか。
◇被告のまま大統領になるシナリオも
米国ではそもそも刑事事件の被告が選挙に立候補することを禁止する法律はない。1920年の大統領選で服役中の社会主義者が立候補した例もあり、
トランプ氏は今後も選挙運動を続けることができる。
当選した場合に大統領就任を阻む規定もなく、
被告のまま大統領になるシナリオも現実味を帯びてきた。
トランプ氏は今後、有罪評決を逆手にとって「政治的な魔女狩りだ」
「不当な裁判で、選挙干渉だ」との訴えを強めるとみられる。
この有罪評決はトランプ氏にとって打撃になる可能性がある。
大統領選では、接戦州での得票が数万票違うだけで勝敗への決定打になるからだ。
ロイター通信が4月に実施した世論調査によると、
共和党員の4人に1人は、
トランプ氏の有罪が確定すれば投票しないと回答。
党穏健派が離反する可能性がある。
一方、
公共ラジオNPRなどの5月下旬の世論調査では、
勝敗のカギを握る無党派層の15%が「投票の可能性が増す」と答え、
「減る」(11%)より多かった。
裁判を「政治的な迫害」と位置づけるトランプ氏の訴えは有権者に一定程度響いており、
「有罪なのに票が増える」という奇妙な結果になる可能性もある。
◇判事の量刑判断に注目
今後の選挙運動に影響を与えるのが、担当のマーチャン判事による量刑判断だ。量刑は7月11日に言い渡される。
実刑になった場合、トランプ氏が控訴したとしても、保釈継続が認められずに勾留される可能性がある。選挙集会や資金集めパーティーは開けなくなり、ソーシャルメディアの発信も規制される。
共和党の候補指名を受ける予定の7月15~18日の党全国大会にも出席できなくなる。
ただ、法律家の間では、トランプ氏は前科がなく実刑になる可能性は低いとの見方が強い。
罰金刑のほか、自宅軟禁や保護観察の処分を受けるケースもあり得る。
一方で、刑事施設に勾留されなくても、移動が制限されれば、選挙運動に支障が出る。
マーチャン判事はこれまでに「トランプ氏は大統領候補であり、憲法修正1条の権利(言論の自由)は極めて重要だ」と述べており、トランプ氏の言動を制約することには慎重だ。トランプ氏は裁判関係者への批判や中傷を禁じた「かん口令」にたびたび違反したが、マーチャン氏は収監を避けて罰金にとどめてきた経緯がある。大統領経験者で、有力な大統領候補でもあるトランプ氏への量刑判断は、判事にとっても難題となりそうだ。
【ワシントン秋山信一
「塀の中」から選挙運動する? 有罪評決でトランプ氏はどうなる(毎日新聞)
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トランプ氏に大口献金相次ぐ、有罪評決で支持者結集
Alexandra Ulmer [30日 ロイター] -
トランプ前米大統領に対する有罪評決を受け、共和党の大口献金者が30日、相次いで同氏に多額の寄付を表明した。
カジノ業界の富豪ミリアム・アデルソン氏や
ホテル経営者ロバート・ビゲロー氏らが
トランプ氏への支持を強調。
最大のトランプ氏支持者の1人で、
同氏を支援する外部団体に既に900万ドル以上を献金しているビゲロー氏は、
前大統領に対する刑事裁判は「恥ずべきことだ」とし、
さらに500万ドルを寄付するとロイターに述べた。
シリコンバレーのハイテク投資家ショーン・マグワイア氏は評決後、
トランプ氏を支持するため30万ドルを寄付したとXで公表。
「米司法制度はトランプ氏に対し武器化されている」と投稿した。
マグワイア氏は以前は
民主党のヒラリー・クリントン氏の支持者だったが、
バイデン政権がアフガニスタン駐留軍を撤収させたことを受けて
2021年にトランプ氏支持に転じた。
トランプ氏に献金するのは初めてだとロイターに述べた。
ロイターのインタビューなどからは、
トランプ氏が直面する法的問題にもかかわらず献金者の支持が厚く、
ウォール街や
ハイテク、
石油業界などからの
高い資金調達力を維持する可能性が高いことがうかがえる。
ロイターの取材に応じた献金者らは、
一部激戦州でのトランプ氏優位を示す世論調査を踏まえ、
同氏の勝利にも強気の見方を示した。
トランプ氏の献金者で、
陣営の資金集めにも協力する石油実業家ダン・エバーハート氏は
「大口献金者は評決ではなく世論調査に注目している」とし、
最近の資金調達では支持率が実業家の献金を促していると指摘。
献金者の電話がかなり増加していると語った