中国のソーシャルメディアに溢れる映像
急増する「中国人男性と結婚したいロシア人美女」の正体とは
エコノミスト(英国)ほか
Text by COURRiER Japon
中国に憧れるロシア人女性たち
英誌「エコノミスト」によると、最近、若いロシア人女性が中国への憧れについて語り、中国人男性と結婚したいと話す中国語の動画がバイラルになっている。このような動画は、2024年2月の旧正月頃から数多く見られるようになった。
そこに出てくるのはナターシャやソフィアといった名前のブロンドヘアの女性たちだ。彼女たちは北京語を流暢に話し、中国の社会やテクノロジーを賞賛する。さらにロシア人男性は酔っぱらいで、怠け者だと不満を漏らし、中国人男性と結婚できたら喜んで料理や洗濯をし、子供を産むと訴えている。
しかし、これらの動画は、AIツールで作られたディープフェイクであることがわかっている。ビデオ編集ソフトを使って短いサンプル映像を加工し、音声を吹き替えることで簡単に作られたものだ。
フェイクビデオに登場する女性からは、利用にあたって当然許可はとられていない。インターネット上の画像や映像が盗用されているのである
盗まれた動画
米国在住のウクライナ人女性、オルガ・ロイエク(20)は、
自身の映像を複製され、これらのフェイク動画に流用された。
米メディア「ボイス・オブ・アメリカ」によると、
彼女は米ペンシルベニア大学で認知科学を学ぶ学生だ。
ロイエクは2023年の終わりにメンタルヘルスについて語るYouTubeチャンネルを立ち上げた
しかし、それから間もなく、フォロワーから「彼女を中国のソーシャルメディアで見た」というメッセージを受け取った。ロイエクは自分が使われている中国の動画を見つけ出したが、そこで彼女は中国語を話すロシア人女性になっていた。彼女のアバターを使ったフェイク動画を流す専用アカウントは十数個もあり、ナターシャ、アナ、グレースなど、異なる名前になっていた。
さらに、グーグル翻訳を使うと、動画のなかで、ロイエクのアバターは中国を愛し、中国人男性との結婚を望んでいると中国語で話していたことがわかった。
「これらのアカウントで話されていたのは、中国やロシア、あるいは中露関係の重要さについてでした。最悪です」
さらにほとんどの動画では特定のオンラインショップが案内され、視聴者にロシア製品の購入が勧められていた。それでもこのフェイク映像が本物の女性によるものだと信じていた人が多いようだ。「ロシアの美しい女性へ、中国人はあなたを歓迎します」などのコメントが残されていた。
ロイエクは、彼女のフェイク動画は「おそらく外国人は中国の優秀さと認めていると、中国人に信じ込ませるためのものなのでしょう」と推測する。
ロイエクは、フェイクアカウントのあった中国のソーシャルメディアの運営企業に苦情を送った。その結果、彼女のアバターを使ったアカウントをほとんど削除できたという
中国政府も困りはてるディープフェイク
中国政府は2023年初頭に、人の画像やその他の情報を本人の同意なしにディープフェイクを生成することを禁止した。2024年4月には、AIが生成したフェイクには、そう明示するよう義務付ける規制を発表した。規制施行によって、中国人男性と結婚したがるロシア人女性の動画は減っているようだ。
しかし、同時に中国ではAIアバターの生成技術が進んでいる。テンセントと、マイクロソフトから独立した中国のAIスタジオXiaoice(シャオアイス)は、人間の映像を作ってAIアバターに変身させるデジタル・ヒューマン・サービスを、わずか145ドル(約2万2000円)で提供している
急増する「中国人男性と結婚したいロシア人美女」の正体とは | クーリエ・ジャポン (courrier.jp)
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