羽田空港で初の木造ハイブリッド施設が着工、ZEB Oriented取得を目指す
小山 航
日経クロステック/日経アーキテクチュア
日本の空の玄関口である羽田空港で、木造を取り入れたターミナル施設の建設が始まった。第1ターミナル北側のサテライト施設だ。旅客ターミナルビルを管理・運営する日本航空ビルディングが2024年5月7日に発表した。同日に着工し、26年夏ごろの供用開始を目指す。
建物は鉄骨造と木造のハイブリッド構造とする。
同社は
空港機能の強化と
環境配慮を両立させ、
サステナブルな
ターミナルビルの実現を図る。
総工事費は非公表。
建設が始まった羽田空港第1ターミナル北側にあるサテライト施設のイメージ。
発着可能な飛行機は6機となる(出所:日本航空ビルディング)
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着工した建物は、
第1ターミナルと接続する連絡通路と
北側サテライト、
飛行機への搭乗口となる固定橋で構成する。
地上3階建てで、
延べ面積は約2万1000m2。
設計は梓設計(東京・大田)、
施工は大成建設がそれぞれ担当する。
施工者の選定は、
指名・公募併用型の見積もり合わせ方式を採用し、
技術提案と
見積金額の総合評価で決定した。
技術アドバイザーとして、
三菱地所設計もプロジェクトに参加する。
設計検討の段階で、
設計図書の確認や
施工品質などの技術的な検証を担う。
施工段階ではコストや品質、
工事スケジュールの管理などのコンストラクションマネジメントを担当する。
建物の構造は1階部分が鉄骨造、
2~3階が木造だ。
具体的には、
連絡通路の2階より上部、
北側サテライトの2階の屋根構造、
固定橋の2階より上のブリッジ部が木造になる。
柱や梁(はり)には国産木材の集成材を使い、
壁面や屋根スラブにはCLT(直交集成板)を用いる。
一部の梁にはLVL(単板積層材)も使う。
建物全体で1800m3の国産木材を使用する予定だ。
建物の構成と主な断面イメージ。オレンジ色の箇所を木造にする計画(出所:日本航空ビルディング)
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構造材に木材を使用することで、
建設時に排出する二酸化炭素(CO2)の削減に貢献する。
建物全体を鉄骨造にする場合と比較して、
2630トンの削減となる。
日本航空ビルディングによると、
構造用木材には供用開始後も長期間にわたり、1435トンのCO2を固定できる。
施設内部のイメージ。大断面の集成材やCLTなどを使い、
木の質感を感じることができる空間にする
(出所:日本航空ビルディング)
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日本航空ビルディングの広報・ブランド戦略室は
日経クロステックの取材に対し、
「空港施設は長大なスパンや大きな天井高を求められる。
従来は
鉄骨や
プレストレストコンクリートで構成することが多かった。
だが持続可能な未来の空港への一助として、
可能な限り木造に置き換えることにチャレンジした」
と説明する
羽田空港で初の木造ハイブリッド施設が着工、ZEB Oriented取得を目指す | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)