クレーマーを訴えた事件録、リフォーム工事の残金超える921万円勝ち取る
この裁判は2000年から03年にかけて、東京地裁で争われた。
住宅会社A社が総工事費1500万円の大規模なリフォーム工事を受注したものの、
施主とその妻から度々工事を妨害されたり過度のクレームを受けたりしたうえ、
「工事が遅延した」などの理由で800万円以上に上る最終金を踏み倒された事件についての民事訴訟だ。
工事は当初から難航した。
「玄関は使わないでほしい」。
工事請負契約書を締結した後、施主は現場監督にそう通告してきた。施主の妻は、近くを職人らが通るたびに、明らかに顔をしかめた。
「不潔だ」と言いたげなその表情に、職人も「雰囲気の悪い現場だ」と感じたという。
(イラスト:勝田 登司夫)
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増築を含む大規模なリフォーム工事だったため、玄関が使えないことは大問題になった。たまたま住宅の外壁全面をALC(軽量気泡コンクリート)板で張り替える工事があったため、そのALC板を1枚分だけ張らずに出入り口としたが、外壁工事が終わると、再び出入り口はなくなった。
結局、地表1.2メートルのところにある幅78センチ、高さ83センチの洗面所の窓から出入りすることを強いられた。材料や道具を持ってこの狭い窓から出入りするのは、危険ですらあった。当然、工期は遅れ気味になった。土日を返上して遅れを取り戻そうとしたが、「休日に工事をするのは非常識だ」などと言われ、やはり妻に追い返された。
現場監督とA社社長は、
「辛い現場だが、とにかくやり切ろう」と、施主の厳しい要求に耐え、4カ月以上かかって工事を終えた。本来の工期から2カ月も遅延した。それを理由に、施主は約800万円の残金を支払わないと一方的に通告してきた。
A社社長が直接請求に出向いたところ、施主と妻は社長が家に入ることを拒否。さらに「あんたの会社みたいなのは倒産してもいいんだ」と言い放ったという
クレーマーを訴えた事件録、リフォーム工事の残金超える921万円勝ち取る | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)