坂茂氏がタマディックの木造オフィスを設計、名古屋に続き豊田市に2件目
川又 英紀
日経クロステック
自動車や航空・宇宙関連などの製品を開発するタマディック(東京・新宿)は2025年8月にも、同社の自動車事業部の新しい拠点「タマディック新豊田事務所(仮称)」を愛知県豊田市に開設する計画を明らかにした。「事務棟」「ワークショップ棟」「健康棟」の3棟(いずれも仮称)で構成する。同市三軒町にある約7400m2の敷地に木造・木質の3棟を、中庭を囲むように配置する。総工費は約30億円。
「タマディック新豊田事務所(仮称)」の完成イメージ(出所:タマディック)
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新拠点の設計は坂茂建築設計(東京・世田谷)、施工は大和ハウス工業が手掛ける。24年4月には坂茂氏も参列して地鎮祭を開催し、着工した。
2024年4月下旬に地鎮祭を開催し、着工した(写真:タマディック)
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タマディックは、22年1月に利用を始めた名古屋市の自社ビル「タマディック名古屋ビル」の設計を坂氏に依頼した実績がある。鉄筋コンクリート柱とCLT(直交集成板)を組み合わせた世界初の木質オフィスビルとして、大きな注目を集めた。地下1階・地上8階建てのガラス張りの建物で、木の柱や梁(はり)が外からもよく見える。最先端の都市木造だ。
RC柱をCLTで包む木質ビル
鉄筋コンクリート(RC)柱とCLT(直交集成板)を組み合わせる新工法を採用したオフィスビルが登場した。設計を手掛けた坂茂氏は、「非常に優れた構造性能であることを確認できた」と振り返る。
2022/05/12
豊田市の新拠点も引き続き、坂氏に設計を依頼することにした。計画地は工業地帯に位置しながら緑が多く、敷地の近隣には三軒屋公園がある。タマディックは坂氏に、環境に配慮した木質空間のオフィスと、周辺の緑を取り入れた眺めを要望したという。3棟構成にして建物ごとに機能を分けたのも、タマディックの希望だ。
延べ面積は、3棟合計で約5400m2。階数は事務棟とワークショップ棟が地上3階建て、健康棟は地上1階建て。構造は事務棟が鉄骨造、一部木造。ワークショップ棟は鉄骨造、健康棟は木造とする。事務棟とワークショップ棟の完成は25年8月、健康棟は26年1月をそれぞれ予定している。
自動車事業部はタマディックの中核部署であり、新拠点の開設後には増員を計画している。延べ面積が約3000m2の事務棟には、約250人の従業員が勤務する予定だ。託児スペースの設置も検討している。建物は木造部分が多く、エレベーター回りなどを鉄骨造にする。
約250人の従業員が勤務する予定である事務棟の内観イメージ(出所:タマディック)
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ワークショップ棟は主に、研究開発や技術研修に利用する。天井高が約10mある作業場や、組み立て室や加工室といった研究開発のスペース、そして最大100人を受け入れられる機械系や電気・電子系、プログラミングなどの情報系の技術研修施設を備える。名古屋にある現在の研修センターを移設する。
ワークショップ棟のイメージ(出所:タマディック