三菱地所設計が描く空飛ぶクルマ時代、ビル屋上が玄関で車体はエレベーターかごに変身

星野 拓美

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

 

三菱地所設計が描く空飛ぶクルマ時代、ビル屋上が玄関で車体はエレベーターかごに変身 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

 

 

 

車体に取り付けたプロペラを回しながら、空中を縦横無尽に飛び回る空飛ぶクルマ。ビルの屋上に着陸すると、プロペラを取り外して専用のエレベーターシャフトに向かう。すると車体がエレベーターのかごに早変わり。地上に降りると今度はタイヤを付けて街中に走り出す──。

 三菱地所設計(東京・千代田)が都市と建築、人をつなぎ合わせる次世代のモビリティー「SMS(Seamless Mobility System)」に関するビジョン作成を進めている。作成開始から約2年後の2024年4月10日に発表した構想では、プロペラの着脱が可能な空飛ぶクルマ「Passenger VTOL」のデザインと、その普及で変わるビルの在り方を示した。

三菱地所設計がデザインした空飛ぶクルマ「Passenger VTOL」の模型。欧州共同体意匠権を取得している(出所:三菱地所設計)

三菱地所設計がデザインした空飛ぶクルマ「Passenger VTOL」の模型。欧州共同体意匠権を取得している(出所:三菱地所設計)

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空飛ぶクルマがビルの屋上に着陸。プロペラを外すと、車体がエレベーターのかごになる(出所:三菱地所設計)

空飛ぶクルマがビルの屋上に着陸。プロペラを外すと、車体がエレベーターのかごになる(出所:三菱地所設計)

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 三菱地所設計デザインスタジオの加藤匠シニアアーキテクトは、「SMSで目指したのは、建築設計事務所ならではのモビリティー提案だ。単なる移動手段の企画ではなく、当社の強みを生かして都市と建築、人のスケールを横断したデザインをトータルで考えた」と話す。

 同社がデザインした空飛ぶクルマは「プロペラユニット」「キャビンユニット」「走行ユニット」の3つで構成する。キャビンユニットは人が乗り込む場所で、4人乗りを想定。広いスペースを確保する。車体というよりはむしろ部屋であり、会議室などとして利用する。さながら“移動する建築物”だ。

 キャビンユニットにプロペラユニットを取り付ければ、空飛ぶクルマになる。走行ユニットを取り付けると、通常のクルマになる。さらにキャビンユニットは、エレベーターのかごにもなる。

Passenger VTOLは3つのユニットで構成する。プロペラとシャシー(車台)の着脱が可能だ(出所:三菱地所設計)

Passenger VTOLは3つのユニットで構成する。プロペラとシャシー(車台)の着脱が可能だ(出所:三菱地所設計)

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 動力源を何にするか、エンジンをどこに積むかといった詳細は詰めていない。「当社の目標は空飛ぶクルマを開発・販売することではない。デザインしたモビリティーが実際に動くことよりも、モビリティーを起点にして都市や建築の新しい可能性を引き出すことに重きを置いている」(加藤シニアアーキテクト)

Passenger VTOLをデザインした三菱地所設計デザインスタジオの加藤匠シニアアーキテクト(写真:日経クロステック)

Passenger VTOLをデザインした三菱地所設計デザインスタジオの加藤匠シニアアーキテクト(写真:日経クロステック

 

 

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