坂茂氏設計の豊田市博物館、木の「えんにち空間」が市民の新たな活動拠点に
中東 壮史 日経クロステック/日経アーキテクチュア愛知県豊田市に新たなランドマーク「豊田市博物館」が完成した。南隣に立つ豊田市美術館(1995年竣工)と共に市の文化拠点を担い、防災拠点の機能も併せ持つ。2024年4月26日の開館に先立ち、4月25日には開館式と内覧会が開催され、関係者や地元住人でにぎわいを見せた。
2024年4月26日に開館した豊田市博物館。北側から正面エントランスを望む。格子状に組んだ木の大屋根が印象的だ(写真:日経クロステック)
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同博物館は22年に閉館した豊田市郷土資料館や、23年に閉館した豊田市近代の産業とくらし発見館の後継施設に当たる。地元の歴史や文化、産業、自然など広いテーマの収蔵物を展示する。
同市の太田稔彦市長は開館式で、「『みんなでつくりつづける博物館』がコンセプトだ。博物館に訪れた市民のみなさんが交流し議論する中で、展示や催しが常にアップデートしていくような博物館を目指したい」とあいさつした。
24年4月25日の開館式であいさつする、豊田市の太田稔彦市長(写真:日経クロステック)
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敷地は県立高校跡地の約4万m2で、豊田市が地域の魅力向上などを図るエリアとして位置づける「豊⽥市⽂化ゾーン」の一角だ。
規模は地上4階建て、
延べ面積約7800m2で、
総工事費は約85億円だ。
豊田市博物館は、1995年に開館した豊田市美術館の隣地に立つ。写真の左が方位の北に当たる。左上の(6)が新博物館だ(写真:日経クロステック)
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平面形状はL字形をしている。2層分の木造共用空間「えんにち空間」を建物の南北に渡し、その東側に鉄骨造の常設展示室と鉄筋コンクリート(RC)造の企画展示室や収蔵・管理室などを、西側にRC造のセミナールームなどを配置した。
新博物館を北西から望む。左のボリュームが木造で、右がRC造。それぞれに、えんがわ空間とセミナールームなどが入る(写真:日経クロステック)
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建物の設計は坂茂氏で、
外構は米国のランドスケープデザイナー、ピーター・ウォーカー氏が担当した。
博物館の南隣に立つ豊田市美術館の外構も
ウォーカー氏が設計した。
施工を手掛けたのは、
清水建設・
トヨタT&S建設・
三栄工業JV(共同企業体)だ。
豊田市博物館の村田眞宏館長は内覧会で、
「設計プロポーザルの決め手は、
博物館と美術館が一体的につながるような配置計画やランドスケープだった」と語る。
博物館の2階にある出入り口は豊田市美術館の2階レベルとそろえ、来訪者が博物館と美術館を行き来しやすいようにした。
豊田市博物館の2階にある出入り口。写真の奥に広がる緑の先に、豊田市美術館がある(写真:日経クロステック)
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写真の左が豊田市博物館で、右が豊田市美術館(写真:日経クロステック)
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写真の左に立つ男性が、豊田市博物館の村田眞宏館長(写真:日経クロステック
坂茂氏設計の豊田市博物館、木の「えんにち空間」が市民の新たな活動拠点に | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)