24階建てオフィスを588戸の住宅に改修

需給バランス変える「一石二鳥」は根付くか

島津 翔

 

シリコンバレー支局

 

 

米国で大規模オフィスを集合住宅に改修する動きが少しずつ広がっている。オフィス需要は戻らず、逆に住宅は不足しているからだ。一石二鳥のコンバージョンは難度が高く、普及してこなかった。今度こそ根付くか。

 

 

 

 

 米ニューヨーク市マンハッタンの金融街にほど近い中心部で、

見慣れない改修工事が佳境を迎えている。

 

24階建ての超高層オフィスビルを

丸ごと集合住宅にコンバージョンするプロジェクトだ〔図1〕。

米ゲンスラーが改修設計を手掛ける。

 

 

〔図1〕ゲンスラーが大規模オフィスを住宅に改修

 

〔図1〕ゲンスラーが大規模オフィスを住宅に改修

改修が進むファサード。

 

住宅としての使い勝手を考えて開閉可能な窓とした

(写真:米コラボレーティブ・コンストラクション・マネジメント)

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改修後の住戸の内観イメージ(出所:米ゲンスラー)

改修後の住戸の内観イメージ(出所:米ゲンスラー)

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パースのように、屋上にはペントハウスを新設する計画だ(出所:米ゲンスラー)

パースのように、屋上にはペントハウスを新設する計画だ(出所:米ゲンスラー)

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 最上部に5フロア分のペントハウスを増築するほか、

外装を撤去して住宅用のファサードを新設。

 

中央管理だった設備を撤去し、

それぞれの住戸で管理できるように更新する。

 

 

 

 延べ面積約4万9000m2のオフィスは、

588戸の

賃貸集合住宅「パールハウス」として生まれ変わる。

 

住宅への転用として

ニューヨークで過去最大規模となる。

 

既に一部の住戸が完成。

2024年夏から秋には竣工する予定だ。

 

 ゲンスラーはオフィスの改修を

「新しい住居を市場に投入する上で極めて重要な戦略」と位置付けて独自に研究を重ねている。

 

 

 ゲンスラーによれば、

パールハウスの設計の特筆点は2つある。

 

1つは

カーテンウオールの改修だ。

既存材を撤去する代わりに断熱材を追加して開閉可能な二重窓に改修。

 

同地域のエネルギー性能要件をクリアした。

 

 

 もう1つは

耐震性強化のために斜め方向のブレースを追加したこと。

既存建物は築51年の物件で、

大規模な耐震補強が必要だった。

ゲンスラーは

「大規模改修を実施したにもかかわらず、鉄筋コンクリート造で同規模の集合住宅と比較して約2万トンの二酸化炭素(CO2)を削減した」とする

 

24階建てオフィスを588戸の住宅に改修 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)