2024年日本建築学会賞に「House&Restaurant」、石上純也氏が2度目の作品賞

奥山 晃平
 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

日本建築学会は2024年4月19日、同年日本建築学会賞の各賞を発表した。
 
作品部門(以下、作品賞)には、
 
「House&Restaurant」(山口県宇部市)、
 
 
 
「岩国のアトリエ」(山口県岩国市)、
 
 
「八千代市の老人デイサービスセンター『52間の縁側』」(千葉県八千代市)の
 
3件が選ばれた。
 
 
 
House&Restaurantを設計したのは石上純也建築設計事務所(東京・港)。石上純也代表取締役は、09年に同賞を「神奈川工科大学KAIT工房」(神奈川県厚木市)で受賞しており、2度目の受賞となる。
 
 
 
 

 今回選ばれた3件は、いずれも延べ面積が500m2に満たない。日本建築学会会長を務める東京工業大学の竹内徹教授は24年の選出結果について、「比較的小規模な建物が作品賞となった」と語った。

 

 House&Restaurantは、山口県宇部市の郊外住宅地に立つ住居兼レストランだ。建物は、前面道路から擁壁によって1階分ほど高くなった敷地を彫り込んだ中に収っている。石上氏が友人でフランス料理店を営む店主から依頼を受けて設計した。

 選評では、地面に掘った無数の穴にコンクリートを流し込んで躯体をつくり、コンクリートが硬化したら土をかき出すという工程を「大胆で知的」と評した。「大地と建築との反転という歴史的な事業を実現させた」と記された。

 

 

山口県宇部市にある「House&Restaurant」(写真:吉田 誠)

山口県宇部市にある「House&Restaurant」(写真:吉田 誠)

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地中をくりぬいた連続アーチ

 土を掘り、その穴にコンクリートを打設する。さらに躯体を掘り出し、ガラスをはめる──。石上純也氏の新作は、これまでの「透明で洗練された」印象から程遠い、「重くてゴツゴツした」建築だ。

2022/08/12

 岩国のアトリエを設計したのは、向山徹建築設計事務所(広島市)の代表で、岡山県立大学教授を務める向山徹氏。書と絵画の収蔵庫を含む画家のアトリエ兼展示ギャラリーと、その家族が暮らす住居を分棟で配置した建物だ。

 金物に頼らない木組みによるトラス架構や、熟練の左官職人が丹念に塗り重ねた土壁などが特徴的だ。「現代の建築技術と伝統的な手業の融合による新たな地平を目指した取り組みが、土地のローカリティーのもとで見事に実体化している」と評価された。

山口県岩国市にある「岩国のアトリエ」(写真:野村 和慎)

山口県岩国市にある「岩国のアトリエ」(写真:野村 和慎

 

 

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