東京湾岸で施工中のタワマンが販売延期に、清水建設がコンクリートの強度不足を確認

小山 航

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

東京都中央区の湾岸エリアで建設中の超高層マンションが販売延期となっている。2024年4月下旬から販売予定だった地上54階建ての「ザ 豊海タワー マリン&スカイ」(以下、豊海タワー)だ。設計・施工を手掛ける清水建設によると、現場で打設したコンクリートの強度を確認するためにテストピースの破壊検査を実施したところ、一部のピースの強度が基準値に達しなかった。24年4月3日に同社のウェブサイト上で明らかにした。

 清水建設は同月15日、原因究明と対策の検討を24年6月をめどに進めると発表。「今回生じた事象については、その対応策を着実に遂行し、品質・性能を確保した建物を引き渡す予定」とコメントした。

豊海タワーの建設現場。2024年4月9日撮影(写真:日経クロステック)

豊海タワーの建設現場。2024年4月9日撮影(写真:日経クロステック)

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 清水建設によると、強度不足を確認したのは地下1階と地上1階のコンクリート柱だ。当該箇所のコンクリートを打設した日に、同じ材料でテストピースをつくって破壊検査を行ったところ、一部で強度が不足していた。コンクリート柱には超高層建築物の躯体(くたい)向けに強度が高いコンクリートを使用しており、躯体工事にはプレキャスト工法を採用していた。

 清水建設は強度不足の確認後、検査結果について詳細な確認が必要と判断。安全性などを確認するため構造計算による検証に着手した。今後は通常の品質管理プロセスと並行して、検証と対策の検討を進める。強度不足の影響がない範囲については、関係者と安全性に関する協議を行った上で工事を継続している。24年4月15日時点で地上4階部分の躯体工事を進めているという。

 清水建設コーポレート・コミュニケーション部は日経クロステックの取材に対し、「所定の品質管理プロセスの中で、強度不足を確認した。検査の仕組みがしっかり機能したということだ。発注者をはじめとする関係者にも報告しており、トラブルとは認識していない」とした。

 豊海タワーは、都営地下鉄大江戸線の勝どき駅から徒歩10分ほどのエリアで進む「豊海地区第一種市街地再開発事業」の核となる2棟の超高層マンションだ。建築計画を記した現場の看板によると、延べ面積は計約23万m2。いずれも地下1階・地上54階建てで、高さは約189m。計2046戸の住戸に加え、店舗、区民館、保育所などが入居する予定だ。

豊海タワーの完成予想図。2棟の超高層マンションから成る(出所:三井不動産レジデンシャル)

豊海タワーの完成予想図。2棟の超高層マンションから成る(出所:三井不動産レジデンシャル)

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豊海タワーの構成。地上2~3階・51~52階に共用部を設けている。地上4階以上が住宅になる(出所:三井不動産レジデンシャル)

豊海タワーの構成。地上2~3階・51~52階に共用部を設けている。地上4階以上が住宅になる(出所:三井不動産レジデンシャル)

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 設計と施工は清水建設が担当し、工事監理は同社と安井建築設計事務所の監理共同企業体が担っている。23年1月4日に着工し、完成は26年11月下旬を見込んでいた

 

 

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