建築現場の規制対応

大手ゼネコンもあの手この手、残業規制対策に特効薬なし

木村 駿

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

  

谷口 りえ

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

 

2024年4月から適用される残業規制。建築現場の労働時間削減が焦点となっている。大手建設会社は生産能力に見合った受注の徹底や、支援部署の設置、好事例の共有など、あの手この手で対策を講じている。

 やはり課題は建築の現場だ──。建設業の「2024年問題」が目前に迫る中、民間発注が大半を占める建築工事の現場では思うように労働時間が減らず、気をもむ企業が多い。

 17年から週休2日(4週8閉所)の実現を目指してきた日本建設業連合会によると、23年度上半期に「4週8閉所以上」を達成した会員企業の建築現場は35.6%にとどまる。残業規制の攻略に特効薬はないため、建設会社は現場の負担を軽減するためのメニューをこれでもかと用意し、数年前から実行に移してきた〔図1〕。

〔図1〕残業規制の攻略へ多様なメニュー

〔図1〕残業規制の攻略へ多様なメニュー

大手建設会社が建設業の2024年問題に備えて実施している主な対策をまとめた(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成、写真:日経クロステック)

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 とりわけ大手建設会社が重視するのが、4週8閉所を前提とした適正工期での受注と、受注量の適正化だ。鹿島の西澤直志執行役員は、「足元の建築需要が旺盛だからといって生産能力を超えて受注すると、十分に人を配置できず、工程に影響しかねない。工程の遅れは他の工事にも連鎖する」と語る〔写真1〕。

〔写真1〕「適正な受注量」を徹底

〔写真1〕「適正な受注量」を徹底

(写真:日経アーキテクチュア)

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 受注判断がいかに重要か、身に染みている建設会社は少なくない。24年2月8日、24年3月期の通期業績予想(単体)で営業赤字が575億円になるとの見通しを明らかにした清水建設は、再発防止策として「全社レベルでの受注前審査の一層の厳格化」を真っ先に挙げている

 

 

 

 

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