現行耐震基準は妥当か」、能登半島地震で動き出した国交省有識者委員会の論点
星野 拓美
日経クロステック/日経アーキテクチュア
「現行耐震基準は妥当か」、能登半島地震で動き出した国交省有識者委員会の論点 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
2024年能登半島地震による石川県内の建物被害の数は、24年2月末時点で8万7000棟を超えた。
建物の構造被害の原因を分析するため国土交通省は、
「令和6年能登半島地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会」
(委員長:
中埜良昭・東京大学生産技術研究所教授)
を立ち上げ、24年2月14日に初会合を開いた。
「正確な被害状況を把握し、科学的に検証・分析した上で、必要な対策を考えていきたい」。
初会合の冒頭、国交省住宅局の今村敬建築指導課長はこう述べた。
この有識者委員会の委員には
学識者の他、
日本建築行政会議や
日本建築構造技術者協会、
日本建築士事務所協会連合会、
日本建設業連合会などの幹部が名を連ねる。
2024年2月14日の初会合冒頭、国土交通省住宅局の今村敬建築指導課長は、「正確な被害状況を把握し、科学的に検証・分析した上で、必要な対策を考えていきたい」と述べた(写真:日経クロステック)
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国交省住宅局の前田亮参事官は、
「現行の耐震基準の妥当性について技術的に検証するのが最も重要なポイントになる」と説明する。
有識者委員会はまず
国土技術政策総合研究所(国総研)
と建築研究所(建研)が
実施した建築物の構造被害に関する調査や、
日本建築学会が実施する悉皆(しっかい)調査などを通じて
幅広くデータを収集・整理する。
データを基に構造被害の原因を分析した後、
対策の方向性を検討する。
24年5~6月ごろに第2回会合を開催し、
24年秋ごろの第3回会合で検討結果を取りまとめる方針だ。
議論の中心になるのは、
被害が顕著だった
低層木造住宅と
沈下・転倒した鉄筋コンクリート(RC)造建築物だ。
低層木造住宅については、
1981年5月以前に建てられた旧耐震建築物、
81年6月~2000年5月に建てられた新耐震建築物、
接合部の仕様などを明確化した00年6月以降の現行基準で建てられた新耐震建築物
の3分類で被害状況を調査する。
「令和6年能登半島地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会」では被害が顕著だった低層木造住宅と、沈下・転倒した鉄筋コンクリート(RC)造建築物を中心に議論する(出所:国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成