日経平均が最高値、企業体質変化を海外勢評価 投機でかさ上げも

ロイター

 2月22日、東京株式市場で日経平均株価がバブル経済の当時につけた史上最高値を34年ぶりに更新した。写真は同日、都内の株価表示スクリーンの前で撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)

 

 

 

 

Noriyuki Hirata [東京 22日 ロイター] - 

 

 

22日の東京株式市場で

 

日経平均株価がバブル経済の当時につけた史上最高値を

34年ぶりに更新した。

 

欧米で株価上昇が続く中、

海外投資家の買いを原動力に

年初からの上げ幅は5600円超に達した。

 

企業体質の改善など

ファンダメンタルズに裏付けされた株高、

との見方がある

 

一方、

投機的な買いで押し上げられている側面も意識される。

 

物色対象が一部の大型株に集中していることから

「脆さ」も見え隠れしている。  

 

 

  年初からの日本株高は

「モメンタムで押し上げられた側面が強い」と、

りそなアセットマネジメントの戸田浩司ファンドマネージャーは指摘する。

 

原動力は海外勢との見方が一般的だ。

 

経済が低迷する中国からの資金シフトと

 

タイミングが重なったこともあり、

 

株高が投資家を引き寄せ、

さらなる買いを呼ぶ好循環となった。

 

 

とりわけ直近の急上昇は

「指数先物を取引する投資家を中心に、史上最高値をつけることが目的化した短期的な買いだろう」(りそなAMの戸田氏)との声もある。

 

     最高値の節目を上抜けたことで、

短期的には達成感から

利益確定の売りが優勢になりやすいとの見方もくすぶる。

 

25日移動平均線からの

乖離率は

過熱感が意識される5%を上回る

 

6.0%で、

 

調整はいつあってもおかしくないとみられている。

 

      一方、足元の株価は、

バブル経済を背景にした前回高値の当時とは「質」の面で異なった株高だと

の評価もある。

 

「短期的な調整はあるとしても、

最高値を更新したことだけで、

行き過ぎと判断するのは

 

中長期の目線からは短絡的だ」

とニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは指摘する。    

 

 

 <34年で市場は変化>     

この34年で日本市場は大きく変化してきた。

最も変わったのは、

外国人投資家の存在だ。

 

1989年12月の海外勢の売買シェアは10%程度だったが、

24年1月には60%程度にまで高まった。

 

保有シェアでは、

1989年の5%程度が

22年には30%に膨らんだ。

 

      「メインの投資家が外国人になり、

市場の評価目線も海外並みに変化してきたことが、

日本株の質的変化にとって大きい要素だ」と

井出氏は話す。    

 

 

バブル経済の当時は、

土地や株価はどこまでも上昇するといった

 

「幻想」を背景に

「バリュエーションという発想がなく、

株価収益率(PER)などは度外視されていた」と、

マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは振り返る。

 

 

 

     バブル経済は、

銀行が土地を担保に資金を貸して膨らませた側面がある。

 

当時の時価総額上位10銘柄の顔ぶれは、

日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)を筆頭に

都銀を中心とした金融機関が大半を占めた。

 

 

主体別では

銀行や

事業会社の保有シェアが大きく

 

「売らない、物を言わない」株主による

政策保有株の比率が高かったことも、当時の株高を支えた。 

 

 

     バブル崩壊後、

企業の過剰な設備投資や

債務、

人員などが業績の重荷となって、

日経平均は下落し続けた。

 

 

一方、90年代後半には

日本版ビッグバンなどの制度改革もあって

外資系証券が存在感を増し、

国内にもバリュエーションの概念が根付いてきたとの見方もある。

 

 

     足元の時価総額上位の顔ぶれは、

トップのトヨタ自動車など事業会社が中心で

「米国に比べると新しい企業は少ないが、

実力で(順位が)上がってきている銘柄」(マネックスの広木氏)と

受け止められている。     

 

 

株価は

PERと

1株当たり純利益(EPS)

を掛け合わせて計算される。

 

企業の成長期待を映すPERは

足元で16倍程度とバブル時から約3分の1に低下した一方、

 

実力を示すEPSは

約4倍に上昇している。

 

バブル当時の過剰な

設備や債務、

人員といった贅肉を削ぎ落としてきた様子がうかがえ

 

 

「株価の水準は同程度でも、

その中身は筋肉質に変化してきたといえる」と、

ニッセイ基礎研の井出氏は指摘している。    

 

 

 バブル後の日本経済は、

長らくデフレから抜け出せず株価の低迷が続いたが、

デフレ脱却に道筋が付きつつある中での高値更新に

「もはやバブル後ではない」(マネックスの広木氏)との声も聞かれる。 

 

 

 

   <AI人気偏重に危うさも>   

  一方、

この34年間には、

日本企業のグローバル化が進んだ。

 

市場での海外勢の存在感が高まる中で、

グローバルマネーの影響も大きくなった。

 

米国株との相関は強まり

「米株高と円安がなかったら、

昨年からの日本株高はなかった」

(みずほ証券の三浦豊エクイティ調査部シニアテクニカルアナリスト)

との声も上がる。    

 

 

 

 足元でも、

米国でのハイテク株買いが波及した側面が強い。

22日の東京市場では、

 

エヌビディアの決算発表を受けて、

 

東京エレクトロン、

 

アドバンテスト

など国内の半導体関連株が軒並み高となった。

 

東京エレクトロンのPERは50倍、

 

アドバンテストは80倍に高まっている。

 

 

「バブルかどうかは事後的にしかわからないが、

短期的に買われすぎの領域に足を突っ込んでいるようにはみえる」

(国内証券のストラテジスト)と警戒する声は根強い。   

 

 

 

  ファーストリテイリング

 

ソフトバンクグループ

を加えたトップ4銘柄の日経平均への寄与度は、

 

年初からの上昇幅の5割を超える

 

寄与度の高い銘柄に物色が集中した株高は

「不安定になりやすい」と、

みずほ証券の三浦氏は指摘する。

 

 

22日のプライム市場の値上がり銘柄数は

 

65%、

 

値下がり銘柄数は30%で、

物色の広がりは限られた。    

 

日本株には、

 

連続賃上げや

 

デフレ脱却、

 

東証による企業への改革要請への期待、

 

インバウンドの回復など、

 

国内要因への期待感もある。

 

 

「固有の要因に基づいた物色対象の広がりが定着するようなら、

日本株高は本物といえる」と、

りそなAMの戸田氏は指摘している。 

 

(平田紀之 編集:橋本浩

 

 

焦点:日経平均が最高値、企業体質変化を海外勢評価 投機でかさ上げも(ロイター) - Yahoo!ニュース

 

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[22日 ロイター]

 - 22日午後の東京株式市場で、日経平均が34年ぶりに史上最高値を更新し、初めて3万9000円台に乗せた。市場が注目していた米半導体大手エヌビディア(NVDA.O), opens new tabの好決算を受け、半導体銘柄が軒並み上昇して相場を押し上げた。

市場関係者に見方を聞いた。

◎3万9000円は通過点、まだ買いやすい

<auカブコム証券 シニアアナリスト 山田勉氏>

やっとここまで来た。34年かかった。デフレを脱却して新しい世界が始まると株価が教えてくれている。

34年前とは、株式市場の中身が全然違う。今の日経平均は、収益証券としてみた時にまだまだ買いやすく、3万9000円は通過点でしかない。34年前は利益が少なく配当も少ない会社を皆が買っていたが、今は株価収益率(PER)をみてもとても自然体だ。

◎一極集中の様相、3月後半には物色拡大か

<バンク・オブ・アメリカ証券 チーフ日本株ストラテジスト 圷正嗣氏>

日本株は時価総額上位銘柄の一極集中相場の様相が強まっている。トヨタ自動車(7203.T), opens new tab、ソフトバンクグループ(9984.T), opens new tabをはじめ、半導体株、商社株などが相場をけん引し、日経平均は高値を更新する構図だ

 

 

 

 

 

きょうは米エヌビディア(NVDA.O), opens new tabが市場予想を大幅に上回る決算を発表したこともあり、もともと上昇していた銘柄がさらに高値に突き進む格好となった。これは超大型7銘柄「マグニフィセント・セブン」が米国株式市場をけん引する構図と同じで、日経平均は米国のような株式指数に近づいたと言うことができる。

一方で、TOPIX(東証株価指数)の史上最高値更新はまだ遠い。

主力企業が大幅な増収増益や株主還元の拡充を発表している以上、日経平均が優位な相場は当面続くものの、3月後半からはマクロ環境の変化に伴い、セクターローテーションの動きが始まり、TOPIXを押し上げるとみている。

現状ではコスト・プッシュ型のインフレの色彩が強いが、3月の春闘が終わったタイミングでは実質賃金の上昇が示されることによって、車載、データセンター、ファクトリーオートメーション(FA)といった幅広い製造業で回復がみられ、物色が拡大していくだろう。年後半に向けてはセクターローテーションの様相が一層強まり、相場全体の基調はより強くなるのではないか

 

 

 

 

 

リスクファクターは米国経済が極端な方向に振れてしまうことだ。仮に景気の急減速で米連邦準備理事会(FRB)が急激な利下げを実施するとなると、日本市場は円高・株安で反応するだろう。また、景気が強すぎてFRBが利下げに踏み出せないとなると、過度な円安が進行し、実質賃金上昇のシナリオが頓挫してしまう。現状のソフトランディング期待が日本株にとって一番心地がいいとみている。

◎日本企業への評価高まった証、物色に広がりも

<マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆氏>

遅かれ早かれ最高値を超えることはわかっており、時間の問題だった。日経平均だけが突出した上昇となっている状況も、特に問題はないだろう。半導体関連株が全体を引っ張っているが、幅広くバリュー株も買われており、TOPIXも上昇している。

日経平均は、その時点で常に日本を代表する銘柄で構成されている。これが最高値を付けていることは、日本企業への評価が高まった証といえる。セクター別の上昇率をみても、トップは輸送用機器で、次いで電気機器となっている。上位には機械、精密機器なども入り、日本を代表するグローバル製造業が買われていることがうかがえる。

 

 

年末には4万3000円と予想している

 

 

 

 

東証による企業への改革要請もあって、株価純資産倍率(PBR)の低い企業の底上げもある。プライム市場の中には旧態依然とした企業もあるが、これから優勝劣敗が付くマーケットになっていけば、より健全になるだろう。

◎達成感で目先は利益確定も、年末4万円試し

<東海東京調査センター チーフグローバルストラテジスト 平川 昇二氏>

米エヌビディアの好決算を背景に、ハイテク株中心の上昇で日経平均は史上最高値を更新した。ただ、スピード的には速い印象で、やや過熱感も意識され、足元から3月にかけていったんピークを付けるのではないかとみている。目先は史上最高値更新の達成感から利益確定売りが出やすくなるだろう。

株価がピークを付けた後は調整局面に入り、今年の1月後半から2月前半にかけて日経平均がもみ合った水準の3万6000―3万7000円程度まで下押しする可能性があると予想する。ハイテク銘柄が株高をけん引してきたため、半導体株などで売りが強まり、指数を押し下げそうだ。

リスクとしては、米景気の底堅さが続き、米金利が高止まりすることだと考えている。米金利高が継続すれば一段とグロース(成長)株の売りが強まりやすく、指数の重しになるだろう。その場合は銀行や素材系などのバリュー(割安)株が物色されるとみられるが、ハイテク株安に押されて相場の地合いは悪化しやすいのではないか。

ただ、米景気の底堅さや国内企業の好業績など日本株を取り巻く環境は悪くないので、調整が一巡した後は年末にかけて日経平均が4万円をトライするなど、再び上方向に向かう展開となりそうだ

 

日経平均が34年ぶり高値更新 一時3万9000円台:識者はこうみる | ロイター (reuters.com)