2026年の大規模量産化を目指す

―御社の事業の進捗状況と今後の展開について教えてください。

 全樹脂電池の基本的な製造技術はすでに完成しており、量産化に向け、第1工場の福井センター武生工場を2021年に開設しました。現在、同工場でさらなるスケールアップのための技術検討を行っていて、2026年には日本国内に8GWhの大型工場を立ち上げ、国内への製品供給を開始する予定です。

 また、2023年3月にはサウジアラムコと連携協定を締結しました。全樹脂電池素材の共同開発に関わる協業のためのもので、サウジアラムコと共同開発の形で、樹脂素材のさらなる技術革新や生産体制のスケールアップを進めているところです。

 まずは住宅や商業施設、病院などの建物に設置される定置式蓄電池市場に製品を投入し、再生可能エネルギーの蓄電などにご利用いただこうと考えています。近年、定置式蓄電池の販売量は伸びてきてはいるものの、その市場ポテンシャルははるかに大きく、需要をまったく掘り起こせていない状態と言っていいでしょう。今後、再生可能エネルギーは世界の基幹電力になっていきますので、定置式蓄電池はそれを活用するためのキーデバイスになるはずです。

 一方、EV向けの電池は、従来型のリチウムイオン電池のメーカーがしのぎを削っていますが、EVは販売台数がまだまだ少ない上に、自動車メーカーからコストダウンを求められ、厳しい状況になってきています。当社の電池はエネルギー密度が高く、今までより走行距離を延ばすことができるのに加え、低コストで長寿命ですから、今後EVの普及が加速し、さらに高性能な電池が不可欠になった時に本格的に市場参入したいと考えています。

 

 

―世界展開については、どのように考えておられますか?

 電池製造のアライアンスメンバーを募り、フランチャイズのような形で事業を広げていきます。従来のリチウムイオン電池に比べ、全樹脂電池の設備投資は格段に安く済みますし、当社がフランチャイザーとなって、電池の製造技術やノウハウをすべて提供し、ライン設計もしますので、オーナーさんの手間やリスクを大幅に低減できます。フランチャイズ方式をとることで、スピード感を持って世界各地で全樹脂電池の生産体制を構築する狙いです

 

 

 

 

未来の顧客やパートナーへのメッセージをお願いします。

 先ほど申しましたように、今後われわれはフランチャイズ方式で事業を世界に広げたいと考えており、必要な技術やノウハウはすべて提供いたしますので、電気の甕を必要とされている再生可能エネルギーなどのエネルギー関連企業や、海外への展開をお手伝いいただける企業の皆さんとアライアンスが組めればと思っています。また、樹脂材料の技術をお持ちの企業ともコラボし、当社の全樹脂電池をさらにブラッシュアップしていきたいですね。ぜひわれわれの事業に参画いただき、より豊かな社会を実現する新しいエネルギーネットワークを一緒に作り上げていきましょう