選挙での「ディープフェイク」に歯止め、IT20社が生成AI偽情報対策で合意…OP技術研究組合も支持
【ニューヨーク=小林泰裕】
生成AI(人工知能)を悪用した
「ディープフェイク」
と呼ばれる偽動画などが
選挙に影響を及ぼすことを防ぐため、
世界の主要IT20社が16日、
協業することで合意した。
今年は11月の米大統領選など大型の選挙が予定され、
業界横断で偽情報の拡散防止を図る。
【図】ディープフェイクで政治家の「偽発言」を作成するイメージ
16日にドイツ南部ミュンヘンで開幕した
「ミュンヘン安全保障会議」に合わせて合意を発表した。
「チャットGPT」を開発したオープンAIや
マイクロソフト、
グーグルなどのほか、
メタ(旧フェイスブック)や
X(旧ツイッター)など
SNS運営大手が名を連ねた。
ソフトバンクグループ傘下の英アームなど半導体関連企業も入っている。
20社は今後、
情報を共有しながら動画の出所を明示する「電子透かし」の開発や、
SNS上で偽情報を検出する技術の向上などを進める。
今年は米大統領選のほか、
欧州議会選(6月)なども予定されている。
欧米メディアからは、合意は各社の自主的な措置で、
偽情報の禁止など強制力がないなどとして効果を疑問視する声も出ているが、
グーグルのケント・ウォーカー社長は16日、
「自由で公正な選挙の実現は、情報の信頼性にかかっている」と述べ、
対応を急ぐ方針を強調した。
ネット上の記事や広告に、
発信者の情報を電子的に付与して信頼性を担保する技術
「オリジネーター・プロファイル(OP)」の
開発を進めるOP技術研究組合は
17日、
この合意を支持すると発表した。
村井純理事長は
「民主主義を守るため、技術的な解決策に引き続き取り組む」
との声明を公表した。
OP技術研究組合には
国内外のメディアなど37法人が参加し、
2025年の運用開始を目指している