フィンランド大統領選、
対露で、より強硬派が初当選
「核の国内通過」容認
フィンランド大統領選で決選投票を争い、そろってインタビューに応じるストゥブ氏(左)とハービスト氏=ヘルシンキで2024年2月11日、AP
フィンランドで11日、
大統領選の決選投票が行われ、
中道右派・国民連合のアレクサンデル・ストゥブ元首相(55)
が中道左派・緑の党のペッカ・ハービスト前外相(65)を破り、
初当選した。
ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、
2人とも対露強硬姿勢をアピールしたが、
より強硬なストゥブ氏に支持が集まった格好だ。
ストゥブ氏は3月1日に新大統領に就任予定で、
任期は6年。
2期まで再選が可能。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、
ストゥブ氏は勝利宣言後、
「我々は外交の新時代に突入している。
それはすぐ隣に戦争があるという時代だ」
と述べ、
ロシアの脅威を見据えた現実的な外交・安全保障政策を進める考えを示した。
フィンランド放送協会(YLE)が伝えた最終集計結果によると、
ストゥブ氏の得票率は51・6%、
ハービスト氏は48・4%。
投票率は70・7%だった。
フィンランドでは行政のトップは首相だが、
大統領は軍最高司令官を務め、
外交・国防面で主導的な役割を担う。
隣国ロシアと約1300キロの国境を接するフィンランドでは
2022年のウクライナ侵攻開始以降、
安全保障を巡る環境が激変。
ニーニスト現大統領の主導で伝統的な軍事的中立政策を転換し、
23年4月に欧米の軍事同盟・北大西洋条約機構(NATO)に加盟した。
選挙戦では2人とも防衛力強化を訴えたが、
違いを見せたのは
「核兵器」と
「NATO」へのスタンスだ。
報道によると、
ストゥブ氏は核兵器を運搬する際の国内通過を許容し、
NATO軍の国内常駐も「賛成する」と述べた。
一方、ハービスト氏は核の国内持ち込みやNATO軍の常駐は「必要ない」
との立場だった。
大統領選はニーニスト氏の任期満了に伴い、
1月28日に第1回投票が実施された。
だが、立候補者9人の中で当選に必要な過半数を得票した候補はなく、
上位2人による決選投票が行われた。
【ロンドン篠田航一