中東介入、泥沼化の懸念 米、対イランに苦慮

時事通信

バイデン米大統領(EPA時事)

 

 

 

 【ワシントン時事】

 

 

米軍は2日、シリアとイラクの親イラン武装組織の拠点への空爆を開始した。 

 

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 昨年10月のイスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突以降、米国は中東での紛争拡大を警戒してきたが、抑止に失敗した格好だ。

 

イランの代理勢力に対する米国の介入には終わりが見えず、泥沼化の懸念が出ている。  

 

「イランとの衝突を望んでいるわけではない。(イランの精鋭部隊)革命防衛隊と彼らが支援する組織の能力を低下させ、混乱させるために(空爆の)標的を選んだ」。

 

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は報復攻撃後、記者団にこう強調した。  

 

イランは代理勢力を通じ、敵対関係にあるイスラエルやその後ろ盾の米国に対する攻勢を強めている。

 

 

イラクとシリアでは昨年10月以降、駐留米軍などに160回以上の攻撃を繰り返してきた。また、紅海ではイエメンの親イラン武装組織フーシ派が相次いで商船を攻撃している。 

 

 米軍は1月にフーシ派への空爆に踏み切ったが、商船攻撃は空爆後も収まっていない。今回の攻撃も効果は未知数だ。  米国内では、武装組織に武器や資金を供給しているイランを直接攻撃するよう求める声が強まっている。

 

野党共和党の重鎮グラム上院議員は「イランはわれわれが痛みを与えるまで、米兵を殺し続けるだろう」と訴え、バイデン大統領にイラン国内への攻撃を要求している。 

 

 イランに強硬姿勢を取ったトランプ前政権に対し、2015年にイラン核合意をまとめたオバマ政権と同じ民主党のバイデン政権は、イランとの決定的対立を回避してきた経緯がある。

 

今年11月の大統領選で再びバイデン氏とトランプ氏の対決が有力となる中、中東情勢の悪化を避けつつ、イランの抑止を目指すというバイデン氏の中東政策は、難路にさしかかっている

 

 

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