絶縁体に新素材XLPEを投入

価格は据え置き、音質は向上。“Xシリーズ”に進化したコード・カンパニー中核アナログケーブル4モデルを新旧比較試聴!

2024/01/26井上千岳

 

 

あくまでも音楽を大切にしたケーブル開発で、世界中の幅広い層のオーディオファンから愛され続ける英国CHORD COMPANY(コード・カンパニー)。同社の中核ライン4モデルのアナログケーブルが、“Xシリーズ”に進化した。絶縁体に新開発のXLPEを投入し、大幅な音質の底上げを果たしているという。その効果を、従来モデルと比較しながら探ってみた。

 

新たな絶縁材XLPEを中核アナログケーブルに一挙に投入。進化具合を新旧比較でレビュー

 

 

 

 

Shawline X -音の細かさと空間性がきめ細かく進化-


Shawline Xはひとつ上位のモデルで、音の細かさと空間性にClearway Xとの違いを感じる。

「Shawline X」RCA:55,000円(1.0mペア)、延長0.1mごとに2,200円

「Shawline X」XLR:66,000円(1.0mペア)、延長0.1mごとに2,200円


バロックは張りがあってエッジがきれいに切れ、楽器どうしの分離がいい。旧モデルと比較すると、よりきめ細かく瑞々しさを加えているのがわかる。ヴァイオリンは歯切れがよく、シャキシャキとリズムが刻まれている感触だ。立ち上がりが明快になっているのが音調全体に変化を与えている。

ピアノは骨格の強さに透明感が加わり、ピントが絞られてステージがリアルにできてくる。遠近が出てくるし、立ち上がりの強靭さも増している。

コーラスは響きが整理されてそれ自体の出方は変わらないが、起伏が増して表現が大きくハーモニーも分離がいい。従来よりも各パートの線がくっきりしているのが違いである。

オーケストラは切れのよさが利いて、明瞭そのものの鳴り方をする。色彩が澄んできれいなのも混濁がないからで、ていねいに磨いたような輝きがある。鮮度と純度が高いのだ。立ち上がりの速さが解像度に利いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Epic X -緻密な冴えを見せ、圧倒的な鮮度でピントも鮮明-


Epic Xから上はいかにもハイエンドの出方である。遠近や音調がそれまでとは一線を画し、音数も増えて彫りが深い。

「Epic X」RCA:110,000円(1.0mペア)、延長0.1mごとに4,400円

「Epic X」XLR:154,000円(1.0mペア)、延長0.1mごとに4,400円


それがXバージョンになるとさらに緻密な冴えを見せる。バロックの鮮度が圧倒的でピントもずっと鮮明だ。ディテールの音数が多いのと、音どうしの関係が精密なのである。

ピアノも音像が明快で、ホールの響きにも実体感がある。全てが明瞭で鮮やかだ。またコーラスは非常に綺麗な鳴り方で、細部まで神経が行き届いている。汚れがなさを特に強く感じる。

オーケストラは隅々まで潤いが行き渡り、どの音も生き生きとして弾みがいい。緻密という言葉がぴったりの再現力である。
 

Signature Tuned ARAY X -一音一音をより精密に描く-


Signature Tuned ARAY Xはもうハイエンドそのもので、一音一音が精密にきめ細かく描かれる。バロックはエッジが全て明確になるため、リアリティが全く違う。ピアノも生きているようなリアリティ。コーラスは目の前が大きく開け、オーケストラは空間の実在感が強烈だ。

「Signature Tuned ARAY X」RCA:220,000円(1.0mペア)、延長0.1mごとに11,000円

「Signature Tuned ARAY X」XLR:330,000円(1.0mペア)、延長0.1mごとに16,500円


本来情報量が豊富で繊細であったものが、一音一音までていねいに磨かれてパリッとした強さと活きのよさが加わった。XLPEの特性が最もよく表れている。

エネルギーが隅々まで満ちてごく細かなところまで力強い。また立ち上がりが速く瞬発力が高い。どのモデルにも共通するこの違いが、つまりXLPEの特質と言ってよさそうだ。

どれも1ランクかそれ以上に向上している印象だが、意外にも価格は据え置きだそうだ。粋な計らいである。

(提供:アンダンテラルゴ)


本記事は『季刊・analog vol.82』からの転載です

 

 

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