プロに聞く、オーダーキッチンを作りたいなら知っておきたいこと

デザインと使い勝手がカスタマイズされたオンリーワンのオーダーキッチン。取り入れたいなら知っておくべきことを専門家に聞きました。

 

Mamiko Nakano

 

 

 

家づくりをする際、キッチンにこだわりたいと考える人は多いでしょう。自分用にカスタマイズされた、使いやすいキッチンを極める場合、行き着く先は特注のオーダーキッチンになるではないでしょうか。今回は、憧れのオーダーキッチンのある暮らしを実現させたいなら知っておきたい基本ポイントについて、2人の専門家に伺いました。

お話をしてくれたオーダーキッチンの専門家たち:

 

 

ベルーガ株式会社(東京都)の北村壽子さん、

 

 

株式会社ハートハウス(金沢市)の澤田陽子さん

 

 

 

 

 

オーダーキッチンとは?

今の日本で最も一般的なキッチンといえば、レイアウトやサイズがあらかじめ決まっていているシステムキッチンです。それに対し、一つひとつの部材を選んで作り上げていくのがオーダーキッチンです。好みのデザインやしっくりくる使い勝手を細かに実現したい場合は、オーダーキッチンが向くでしょう。

このほか、大工さんに作ってもらう造作キッチンという選択肢もあります。キッチンの種類については、以下の2記事も参考にしてみてください。

 
 
 
オーダーキッチンの計画は余裕を持って進めよう

オーダーキッチンを計画したいと思った時、専門家がまず最初に注意点としてあげるのが「時間に余裕を持って進めること」です。

「オーダーキッチンは、プランそのものはもちろん、それに対する予算、住まい全体との兼ね合いなど様々な事を考慮しながら進めていかないといけません。とにかく時間がかかることを知っておくだけでも、余裕を持ってゆったりとキッチンを決めていくことが出来ますよ」とアドバイスをくれたのは、株式会社ハートハウスの澤田陽子さんです。

澤田さんは、オーダーキッチン計画の打ち合わせについて「初回を含めて、3〜8回ほどの打ち合わせが必要です。中には数10回と打ち合わせが必要な方もいらっしゃいました」と話します。
 
 
 
 
 
 
オーダーキッチンに向く人とは?

時間と手間のかかるオーダーキッチン。どういう人におすすめだと、専門家は考えるのでしょうか?

北村さんは「オンリーワンを望む人ですかね。あとは主体的に動けて、手間を惜しまず、プロセスを楽しめる人です」と話すのは、ベルーガ株式会社の北村壽子さん。

澤田さんも「キッチンに対するこだわりのある人やオリジナル性を追求する人は、とても向いていると思います」といいます。

逆にキッチンへの思い入れがそこまで無い人にとっては、時間と手間をかけるのが大変だと感じる人もいるかもしれません。オーダーキッチンづくりは、自分の"好き"を丁寧に具現化していくプロセス。家づくりにある程度時間をかけられる人であれば、またとない機会になるでしょう
 
 
 
 
 
オーダーキッチンの完成までにかかる期間の目安は?

では、オーダーキッチン完成までにかかる期間はどれくらいだと考えればよいのでしょうか?

澤田さんは「計画全体で、半年から1年をみて欲しい」と話します。北村さんも「打ち合わせ~プレゼン、ショールーム見学など含む部材の選択、図面承認、見積もり承認に2~3か月。施工期間は別途かかり、リフォームなら2か月くらいが目安です。新築の場合は現場の工程に準ずることとなりますね」と話し、やはり半年程度はかかるとのご意見でした
 
 
 
 
 
 
 
 
 

オーダーキッチンの費用感は?

手間と時間と、こだわりの部材を使うオーダーキッチン。費用は高めになるイメージですが実際はどうなのでしょうか?

澤田さんによると、ハートハウスの場合は180万円(工事費別)くらいからのキッチンが多いとのことですが、1000万円近くになったものも、これまでにはあったそうです。

北村さんがディレクションするベルーガ株式会社の場合は、300万円〜600万円(工事費別)程度になるキッチンを手掛けることが多いとのこと。手に入りにくい輸入品の金具や設備類を採用すると、費用も高めになる傾向があるといいます

 

 

 

 

 

予算に限度はあるけれど海外製品を取り入れたいなら「1点だけ取り入れるというのも手です」と北村さん。

例えば、上の写真のキッチンでは、カウンターは人造大理石で、ガス器具やレンジフード、食洗機には日本製を採用していますが、水栓は1点だけ海外製品を使っているそうです。既存の建具などとカラーコーディネートしたため「値段より見栄えがするようになっているはず」と北村さん。自分の希望を専門家とよく相談しながら、納得のいくバランスを一緒に探るのがよさそうですね。
 
 
 
 
リフォームの場合と新築の場合の留意点

オーダーキッチンを住まいに取り入れるケースとしては、新築とリフォーム・リノベーション両方の場合があるでしょう。それぞれの場合について注意するべきことはなんでしょうが?

新築の場合は、一括発注となる家全体の工事の中で、キッチンだけの分離発注がしづらいこともあるので注意が必要、と北村さんは指摘します。「オーダーキッチンを希望するなら、施主の要望としてキッチンを別に発注するのが可能かどうかをよく確認する必要があります」とのこと。

また、リフォーム・リノベーションの場合について北村さんは「解体してみないとわからないのですが、既存の設備関係の経年変化は注意する必要があります。また、搬入・搬出経路のによっては、運び込みがしづらいデザインもあるので、その点も確認したいですね」と続けます。

澤田さんは「新築、リノベと両方に言えますが、総工事費に対するキッチンの予算取りが大切だと思います」と話します。
 
 
 
 
 
 
憧れの実現はプロに助言をもらいながら進めよう

自分用に完全にカスタマイズされるからこそ、実現するためには、これは"特例"なのだと認識した上で立ち回ることも必要になりそうなオーダーキッチン 。それでも譲れない最終的な理想のキッチンがあるなら、プロたちはあなたのアドバイスに乗るために、そこにいてくれます。

「実物を自分の目で見て、確かめてください。迷ってしまった場合は、気兼ねなくプロの話を聞いてみてくださいね」(澤田さん)

「オーダーキッチンづくりのプロセスは大変ではありますが、主体的に物事を決めて形にしていくのは楽しいし、ワクワクします。世界に一つだけのキッチンを一緒に実現しましょう」(北村さん)

気になり始めたら、オーダーキッチンの専門家を探してみては?