基礎の施工不良

安藤ハザマJVが原発で施工不良、コンクリート充填不足や鉄筋露出

安藤 剛

 

日経クロステック/日経コンストラクション

 

 

 

日本原子力発電(原電)の東海第2原発(茨城県東海村)で、整備している防潮堤の基礎にコンクリートの充填不足など施工不良が見つかった。原電は工事を中断して補修・補強計画を検討している。

 原電は東海第2原発の再稼働に向けた安全対策の一環として、取水口の上に延長80mの鋼製防護壁による防潮堤を整備している(資料1)。施工者は、安藤ハザマ・五洋建設・若築建設JVだ。

資料1■ 原発取水口上部の防潮堤の基礎に施工不良

資料1■ 原発取水口上部の防潮堤の基礎に施工不良

東海第2原発で施工不良が見つかった箇所と南側基礎の断面図。日本原子力発電が原子力規制庁と面談した際に提出した資料から引用(出所:日本原子力発電)

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 取水口の脇に縦横15.5mの柱状基礎を南北2カ所設ける。基礎の外殻部は連続地中壁で造成する。北側の基礎の深さはTP(東京湾平均海面)-56m、南側はTP-50mだ。

 コンクリートの充填不足が見つかったのは2023年6月。南側基礎の外殻部の東西南北各面にある剛結継ぎ手部で、TP-10m~-46mの位置に生じていた(資料2)。充填不足によって壁面位置が、設計上の位置よりも平均で約19cm、最大で約29cm、基礎の内側に後退していた。鉄筋が露出している箇所もあった。

資料2■ 東海第2原発の取水口上部に設ける防潮堤の南側の基礎で見つかったコンクリートの充填不足と鉄筋の変形。調査のため一部のコンクリートを除去した状態。日本原子力発電が原子力規制庁と面談した際に提出した資料から引用(写真:日本原子力発電)

資料2■ 東海第2原発の取水口上部に設ける防潮堤の南側の基礎で見つかったコンクリートの充填不足と鉄筋の変形。調査のため一部のコンクリートを除去した状態。日本原子力発電が原子力規制庁と面談した際に提出した資料から引用(写真:日本原子力発電)

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 原電は23年10月、原子力規制庁に説明した際の資料で、連続地中壁を造成するために掘削した溝の側面で粘性土のはらみ出しや一部崩落が発生し、充填するコンクリートの流路などを塞いだのが原因との見方を示した(資料3)。

資料3■ 溝壁を掘削した状態で長期間維持してはらみ出し

資料3■ 溝壁を掘削した状態で長期間維持してはらみ出し

東海第2原発で見つかった施工不良の概要と推測される発生原因。日本原子力発電が原子力規制庁と面談した際に提出した資料から引用(出所:日本原子力発電の資料を基に日経クロステックが作成)

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 粘性土のはらみ出しは、溝壁が掘削された状態で長期間維持され、その間、掘削機の繰り返し荷重と周辺のコンクリート打設に伴う側圧が掛かったことや、掘削した溝に入れた安定液と地下水位との水位差不足のために生じたと推定した

 

 

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