VOXEL APARTMENT(広島市)

153の立方体パズルで11戸

2750mmモジュールで飛び出す住宅を開発 

 

設計:RFA 施工:河井建設工業

 

 

萩原 詩子
 
 
 

JR広島駅から2kmほどの距離に位置する、地上5階建ての集合住宅である。1辺が2750mmの立方体を重ねたり、つなげたりしている。街に飛び出したような形の建物だ。建物の凹凸を利用し、全11戸に屋外空間を設けた。

 「VOXEL(ボクセル) APARTMENT」は建て主と親族の住宅2戸と賃貸住宅9戸、建て主が営む飲食店、さらには貸事務所と貸駐車場で構成する〔写真1〕。建て主は以前からこの一帯で、賃貸住宅などを営んでいた。今回の敷地はもともと戸建ての自宅と貸駐車場があった場所だ。相続に備えて集合住宅に建て替えるに当たり、「近隣の日照や通風をなるべく妨げない建物にしたかった」(建て主)。そこで遠戚に当たる設計者の藤村龍至氏に相談した。

〔写真1〕建物の凹凸で生まれる空中の庭

 

 

 

 

 

〔写真1〕建物の凹凸で生まれる空中の庭

建物南側の正面外観。正方形の開口部が並ぶ。凹凸が多い外形なので、中間階にオープンな空間を設けやすい。建物名の「VOXEL」とは、「Volume(ボリューム)」と「Pixel(ピクセル)」を組み合わせた造語(写真:イクマサトシ)

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 「藤村氏なら周辺環境を読み解き、面白い建物をつくってくれると期待した」(建て主)。巨大ブロックのおもちゃのような外観の凹凸は、北側に影を落とさず、周囲の住宅に圧迫感を与えないようにしたものだ〔写真2〕。

〔写真2〕立方グリッドの壁柱や壁梁で成り立つ構造

 

 

〔写真2〕立方グリッドの壁柱や壁梁で成り立つ構造

東側外観。各立方体の開口を囲む垂れ壁や袖壁、腰壁が柱や梁の役割を果たす。最上階の屋根スラブにはCLT(直交集成板)を用いて躯体を軽くし、蓄熱負荷を低減している(写真:イクマサトシ)

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 建物の規模や住戸数は、事業計画に基づいて決めた。

 

収益性を担保するため、

 

駐車場は住戸数を上回る27台分を確保し、

貸している。

 

そのため1階は車が南北に通り抜けられるように、

一部をピロティとした。

 

東側には2つの貸事務所を並べ、

路地のようなアプローチを配置。

入居者は駐車場とアプローチの2方向から1階のエントランスに入れる

 

153の立方体パズルで11戸 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)