偽エクストラバージンオリーブオイル横行 低品質オイル混入、健康被害の恐れも

CNN.co.jp

低品質のオイルなどを混ぜた偽の「エクストラバージンオリーブオイル」が一部で横行し、逮捕者も出ている

 

 

 

 

(CNN) 

 

「液体の金」とも呼ばれ、地中海料理には欠かせないオリーブオイル。エクストラバージンやバージンオリーブオイルは輸出価格が上昇し、オリーブオイル市場は今後10年で飛躍的な拡大が予想されている。 

 

 

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一方で、人気の高いイタリア、スペイン、ギリシャ産のエクストラバージンオリーブオイルをめぐっては、ヒマワリ油やキャノーラ油、さらには灯油までを使い、米国でリットル当たり30ドル(約4300円)もの高値で売れる商品を製造して不正に利益を稼ぐ業者も横行している。 11月下旬、スペインとイタリアは欧州連合(EU)の欧州刑事警察機構(ユーロポール)と連携して、そうした犯罪にかかわった11人を逮捕したと発表した。当局が差し押さえた12樽(たる)には、バージンオリーブオイルでもエクストラバージンオリーブオイルでもない粗悪品約26万リットルが入っていた。 

 

 

 

当局はさらに、輸出準備が整った市販用の製品5200リットルも差し押さえた。ラベルには100%イタリア産またはスペイン産という虚偽が記載されていたが、実際には「消費に適さない」商品だった。 当局は現金9万1000ユーロ(約1400万円)と高級車4台、偽ラベル、スペイン産およびイタリア産オイルと記載された書類も発見した。抜き取り検査の結果、このオイルはオリーブオイルの副産物を別のオイルと混ぜて作った商品だったことが分かった。

着色料の使用も

こうした不正商品の温床を生み出したのは、インフレや物価の高騰、オリーブオイル生産量の減少、需要の増大だった。 「残念ながらエクストラバージンオリーブオイルの偽造は普通に行われており、特に生産国では捜査当局が優先的に摘発している」とユーロポールは指摘する。 イタリアの農業団体コルディレッティによると、地中海産オリーブオイルの需要が高まる一方で、天候の過酷化によって生産量は減少し、高品質のオリーブオイルに質の低いオイルを混入する行為が横行するようになった。 オリーブオイルに特徴的な緑がかった黄色を出すために、クロロフィルやベータカロチンを使って着色する業者も増えている。 コルディレッティによると、2023年は地中海のオイル生産が41%減少した。春の降雨量が極端に多かったことからオリーブの開花が減り、成長したオリーブの実も夏の猛暑で干からびた。 このため生産者が市場の需要に対応できなくなり、地中海のオイル産地にいわゆる「農業マフィア」が入り込んで、偽エクストラバージンオリーブ生産業を発展させた。 「消費用のオリーブオイルに質の低い代替品を混ぜることで、犯罪組織が合法的なサプライチェーン(供給網)に入り込んで価格競争力を高めた」とユーロポールは解説する。「こうした不正は健康リスクを生じさせるだけでなく、消費者の信頼を失墜させ、さらなる経済的反動を招く」

チェーンソー窃盗

犯罪組織が不正品を製造するためには質の高いオリーブオイルを必要とする。 そのためオリーブオイルの木や枝が丸ごと盗まれる事件も増加した。ギリシャやイタリアでは、オリーブの実をいっぱいにつけた木や枝がチェーンソーで切り落とされ、丸ごと盗まれる事件が頻発している。 ギリシャ、スペイン、イタリアでは、オリーブ倉庫への侵入事件や、収穫機を破壊して収穫を遅らせ、その間にオリーブを盗もうとする手口も増加した。 欧州委員会の22年の報告によると、オリーブオイルは欧州でラベルの偽装が最も多い食品の一つとされている

 

 

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