清水建設JVの土のう無断撤去で浸水被害、越水量は深さ64cm分
青野 昌行日経クロステック/日経コンストラクション
清水建設などの共同企業体(JV)が千葉県茂原市にある仮堤防の大型土のうを無断撤去していた問題で、市は撤去箇所からあふれた水の量が浸水深64cm分だったとの試算結果をまとめた。2023年9月の台風13号に伴う記録的な大雨によって、茂原市などで大規模な浸水被害が発生していた。田中豊彦市長が23年11月27日の記者会見で明らかにした。6個の大型土のうが撤去されていた明光橋下流の仮堤防。越水発生2日後の2023年9月10日に撮影(写真:千葉県)
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茂原市内を流れる2級河川の一宮川では19年10月にも大雨で氾濫し、大規模な浸水被害が起こっている。そこで、川を管理する千葉県は、護岸を急傾斜にして河道断面を広げる事業などを進めている。
護岸工事の施工手順。ステップ1の段階で越水が発生した(出所:千葉県)
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問題の箇所は、清水建設・幸和建設興業(千葉県松戸市)JVが、21年7月~24年12月の工期で施工。既存の堤防を掘削し、川裏側に大型土のうを積んで必要な堤防高を確保していた。
越水前の仮堤防の様子(写真:千葉県)
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しかし、清水建設JVは22年1月、近くの護岸のひび割れを補修するため、土のう6個を解体して中の土を使用した。そのため、土のうを撤去した延長2.5mの範囲で、堤防高が1.2m不足。その状態で大雨による増水があり、撤去箇所から越水した。
この大雨で、茂原市では大規模な内水氾濫が生じていた。越水箇所周辺の八千代地域では、場所によって1mを超える浸水があった。そこで県は、土のう撤去の影響などについて調べるため、有識者でつくる検証委員会を設置した。
2023年9月の豪雨による浸水状況(出所:千葉県の資料に日経クロステックが加筆)
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しかし、県は23年11月24日に初会合を開いたものの、越水量などの具体的な数値は示していない。「県がいつまでも数字を出さないため、市が仕方なく独自に試算した」と、茂原市土木建設課の担当者は話す。
一宮川は県の管理だが、浸水被害に関する住民からの相談や問い合わせは市が受けることが多い。具体的な数字がないと対応できないという
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