「親イスラエル伝統国」アメリカ、「ガザ停戦」求めるデモ拡大…若者中心にパレスチナへの好感広がる
4日、米ワシントンで、「ジェノサイド(集団虐殺)をやめろ」などと書かれたプラカードを掲げ、停戦を求めるデモ参加者=淵上隆悠撮影
【ワシントン=淵上隆悠、ニューヨーク=金子靖志】
パレスチナ情勢を巡り、全米で若者を中心に停戦を求めるデモが広がっている。ユダヤ系とイスラム教徒を標的としたヘイトクライム(憎悪犯罪)も急増し、戦闘は米国に暗い影を落としている。
「声を上げられないまま殺されている子供たちのために来た」
4日にワシントンで開かれた数万人規模のデモに参加したジジ・エーさん(28)はこう語り、一刻も早い停戦を呼びかけた。父親がエジプト出身だという夫のザックさん(28)も「私たちが政府に税金を納めるのは、イスラエルに武器を送るためではない」と訴えた。
米国では、パレスチナ自治区ガザに対するイスラエル軍の攻撃が激しくなるにつれ、抗議の輪が広がっている。この日はニューヨークやロサンゼルスでもデモがあった。アラブ系だけではなく、白人や黒人も交じり、若者の姿が目立った。
親イスラエルを伝統とする米国だが、リベラルな若者がパレスチナに好感を持つ傾向にある。昨年時点で、民間調査機関ピュー・リサーチ・センターの調査に18~29歳の61%が「パレスチナに好意的だ」と答え、65歳以上の47%を上回っていた。民主党支持層の約半数がイスラエルよりもパレスチナに共感していることを示す調査結果もある。
イスラム教市民団体「米イスラム関係評議会」フィラデルフィア事務所のアフメット・テケリオグル事務局長は取材に「米国の若い世代は様々な人種やバックグラウンドを持つ。ガザの惨状に心を痛めている人は多い」と指摘した。
4日、ニューヨーク市マンハッタンで、「占領をやめろ」などと書かれたプラカードを掲げ、停戦を求める抗議デモ=金子靖志撮影
一方、デモでは
「イスラエルは地獄に落ちろ」
といった攻撃的な主張が少なくない。
米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官は
10月31日の上院公聴会で、
ユダヤ系に対するヘイトクライムが「歴史的な水準」に達している
と明らかにした。
戦闘の開始以降、
各地の大学では、
ユダヤ系の学生に対する嫌がらせが横行している。
攻撃を受けているのはイスラム教徒も同じだ。
イリノイ州シカゴでは10月14日、
70歳代の男がイスラム教徒の男児(6)を刺殺した。
捜査当局は、男がイスラム主義組織ハマスに反発して犯行に及んだと見ている。
事件を深刻にとらえたバイデン政権は今月1日、
「イスラム嫌悪」に対する初の国家戦略を策定すると発表した。
バイデン大統領が再選を狙う大統領選を見据え、
「イスラム票」をつなぎとめる意図が透ける
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