ソフトバンクはコスパが悪すぎた…ホームラン1本で7億7600万円 外国人選手「勝ち組球団」と「負け組球団」はどこだ?

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近年稀に見る成功例

巨人からロッテに移籍して“本塁打王”に輝いたポランコ

 

 

 

 

 プロ野球のレギュラーシーズンも終わり、クライマックス・シリーズ(CS)と日本シリーズを残すのみとなった。今年に限らずここ数年目立つのが外国人選手の苦戦だ。ポランコ(ロッテ)がパ・リーグのホームラン王を獲得したものの、両リーグで打率10傑入りを果たしたのは、サンタナ(ヤクルト)だけ。投手に関してもリリーフで活躍している投手はいるが、規定投球回数に到達した選手は1人もいなかった。今回は、そんな外国人選手の働きについて「勝ち組球団」と「負け組球団」を探ってみたい。

 

西尾典文/野球ライター】 

 

 

 

【写真を見る】シーズン終盤は故障で登板がなかったものの、CSには間に合った“バウアー”の豪快な咆哮

 

 

 

 

 

 両リーグで最も外国人選手が機能した球団は、ヤクルトになるだろう。野手では、サンタナが、打率.300(リーグ3位)、18本塁打をマークしたほか、オスナは23本塁打、71打点とまずまずの成績を残している。彼らはともに2021年に来日し、3年連続で安定した成績を残している。年齢は、サンタナは今年で31歳、オスナは30歳とまだ若く、近年稀に見る成功例と言えるだろう。  投手では、推定年俸1億3200万円で新加入したケラが一軍で登板することなく、7月に退団するという誤算はあったものの、サイスニードが23試合に先発して7勝8敗、ピーターズも18試合に先発して6勝5敗とまずまずの成績を残している。彼らがいなければ、5位をキープできず、最下位に沈んでいたはずだ。

 

 

 

バウアーの存在感

 セ・リーグでもう1球団、「勝ち組」と言えるのがDeNAだ。ソトとオースティンが打線の主軸として機能できなかった一方で、やはり新加入のバウアーの存在は大きかった。来日直後は、クセを見抜かれて、大量失点を喫する試合が目立ったが、徐々に日本の野球に対応。19試合に先発して10勝4敗、防御率2.76と先発の一角として十分な役割を果たした。  同じく新加入のウェンデルケンはブルペンを支えた。チームトップの61試合に登板し、2勝2敗、3セーブ、33ホールド、防御率1.66と見事な成績を残している。入団7年目のエスコバーが大きく成績を落としていただけに、ウェンデルケンの活躍は、2年連続のCS進出に寄与した。  パ・リーグの「勝ち組」は、最終戦でCS進出を決めたロッテだ。冒頭で触れた、ポランコが26本塁打でホームラン王に輝き、75打点はチームトップの数字である。長打力不足に悩んでいたロッテにとって、ポランコの活躍は非常に大きい。  先発陣では、ポランコと同じく巨人から加入したメルセデスが4勝8敗と負け越したものの、116回1/3を投げて、防御率3.33と、先発の役割はそれなりに果たしている。リリーフは、新加入のペルドモが53試合に登板して41ホールドをマークし、最優秀中継ぎ投手賞を獲得している。結果的に、ポランコとメルセデスという巨人を自由契約になった選手に加え、メジャーでリリーフ経験があるペルドモを獲得したことが吉と出た。  このほか、広島は、ターリーとアンダーソンが中継ぎとして活躍し、新加入のデビッドソンが19本塁打を放っており、まずまずの評価を与えられるが、他球団は軒並み期待外れに終わった外国人が多かった

 

 

 

 

助っ人4人合わせて“ホームラン1本”

 なかでも、コストパフォーマンスという点で、ソフトバンクは12球団で最悪だったといえる。ロッテから加入したオスナが、26セーブをマークして防御率0.92と安定した成績を残したが、他の選手はかなり苦しんだ。阪神から加入したガンケルは1勝もあげることができず、モイネロは、7月に左肘手術で長期離脱となった。  野手は、さらにひどく、ガルビス、ホーキンス、アストゥディーヨの3人で放ったヒットはわずかに11本にとどまった。シーズン途中に急遽、昨年まで在籍していたデスパイネを呼び戻したものの、20試合出場で、3安打と全く戦力にならなかった。  推定年俸は、ガルビスの3億5000万円を筆頭に、アストゥディーヨとデスパイネは1億8000万円、ガンケルは1億6000万円、ホーキンスは6600万円となっている。野手の推定総年俸(ガルビス、アストゥディーヨ、デスパイネ、ホーキンス)は7億7600万円。ここから単純計算すると、ヒット1本あたりの金額は約5543万円となる。ホームランは4人で1本だけなので、1本あたり7億7600万円だ。前述したようにガンケルは1勝もできず、結果的に1億6000万円をドブに捨てたといえるだろう。今年のソフトバンクは、あまりにコストパフォーマンスが悪すぎた。  一方、ソフトバンクほどの多額の金額を投資したわけではないが、楽天もまた「負け組」と言えるだろう。野手をみると、新加入のフランコが12本塁打を放ったものの、打率は2割台前半に低迷し、シーズン終盤には全く戦力とならなかった。2年目の飛躍が期待されて残留したギッテンスは、一軍出場はなかった。投手陣では、新加入のバニュエロスが一軍でわずか1試合の登板で、2/3回を投げて6失点、防御率81.00という成績に終わっっている。ここ数年は、新外国人選手の外れが続いており、獲得ルートやスカウト体勢を見直す必要がありそうだ。 西尾典文(にしお・のりふみ) 野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。 デイリー新潮編集部

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