”XE" の方ではなくて、

”X"の方は、

 
全部入りですから、
 
アクティヴ・スピーカー(パワード・スピーカー)を
 
つなげば、
 
もう、これでもう決まり!
 
という感じです。
 
お値段も、(オーディオファイルとしては、という意味で???)
 
アッパー・ミドルクラスの価格帯で、”この信頼・有名度”
 
 

 

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アートを感じさせるヘッドホンアンプ、SPL「Phonitor xe」の魅力に迫る

2023/09/28野村ケンジ

 

 

 

芸術性も疎かにしない、ドイツが誇るプロフェッショナルブランド「SPL」。オーディオ評論家から支持され、VGPアワードで連続金賞を獲得しているヘッドホンアンプの定番「Phonitor」シリーズの上位機「Phonitor xe」の魅力に迫る。

 

■“より”ピュアな音色が味わえる上位機「Phonitor xe」


ドイツのデュッセルドルフ近郊、ニーダークリュテンに本社を構えるSPLは、1983年の設立以来40年以上の歴史を持つオーディオメーカーだ。主にスタジオ向けプロ用機器のジャンルで高い評価を得ているが、近年はヘッドホンアンプやDAC、パワーアンプなど、オーディオ愛好家向けの製品もラインナップ。多角的に展開している。ちなみに、すべての製品がドイツ本社の工場で生産され、徹底したクオリティコントロールを行うことで、高い品質の製品を作り上げていたりもする。

SPLにとって、代表作といえるのがヘッドホンアンプ “Phonitor” シリーズだ。HeadphoneとMonitorを掛け合わせた造語で、音質も機能もかなりのこだわりが盛り込まれている。「Phonitor x」「Phonitor se」は5期連続でVGPアワードの金賞に輝くほど、日本国内でも「定番」となりつつある。

そんなSPLのヘッドホンアンプ上位機Phonitor xeの本格導入がスタートした。デザイン的にはPhonitor xと同様にVUメーターを配しつつも、SPLらしい機能的かつ上品な印象を持つ。DAC搭載/非搭載のバリエーションを用意しているが、注目すべきなのはDAC搭載モデルだ。DACチップにAKM製「AK4490」を採用、768kHz/32bit、DSD256までのハイレゾ音源に対応しているほか、後述するSPL独自のローパスフィルター「DLP120」を内蔵しているからだ。

カラーは3色から選べる。SPLの製品はすべてドイツ本社の工場で生産されている。プロフェッショナル向けのモデルということもあり、厳密に品質管理されており、数値上の厳しい基準をまずクリアしたうえで、感性評価も含めた4日間におよぶオーディオテストにクリアしたものだけが出荷を認められるという


スタンダードモデルPhonitor xと異なるのは、プリアンプにまつわる部分だ。Phonitor xeではスピーカー出力(XLRとRCAの2系統)やアンプ用の電源連動端子が廃されている。つまり、ヘッドホンアンプ単体としての用途で、よりSPLらしいサウンドを追求するなら「xe」、アクティブスピーカーなど手持ちのオーディオシステムに組み込める汎用性の高さなら「x」が優位といえるだろう。
 

■SPLのサウンドを支える3つの独自技術


さて、Phonitorシリーズに欠かせない技術といえば「120Vテクノロジー」だ。もちろんPhonitor xeにも搭載されている。アナログ回路を一般的なディスクリートアンプの2倍、半導体オペアンプの4倍にあたる±60Vのハイボルテージで動作させるシステムだ。回路への供給電圧を高めることで、ダイナミックレンジの拡大や歪み/ノイズの抑制を実現している。
 

■SPL独自技術1「120Vテクノロジーとは?」
 

 


一般的なディスクリートアンプの2倍、半導体オペアンプの4倍にあたる±60Vのハイボルテージで音声処理を行うオリジナル音響技術。電子回路への供給電圧を高めることで、ダイナミックレンジの拡大、歪みやノイズの抑制など様々な好影響がもたらされる。



さらにPhonitor xeでは「DLP120」という「120Vテクノロジー」で動作するローパスフィルターも搭載されている。PhonitorシリーズのDAC搭載モデルとして唯一、DACチップ内のローパスフィルターを利用しないため音質面で更なる優位性を確保しているという。

もうひとつ「Phonitorマトリックス」機能も健在だ。ヘッドホンでありながらもスピーカーで聴いているかのような音場表現を実現するこちらの機能、いわゆる疑似ステレオ音場を生み出す仕組みなのだが、本機ではクロスフィード(逆チャンネルの音の効かせ方)を6段階、アングル(疑似スピーカーの角度)を55度までの4段階に設定できるため、好みや音源に合わせて調整できる。実際、ヘッドホンなのにスピーカーの音を聴いているような自然な音場を作り上げてくれるので、長時間リスニングなどの際に積極的に活用したいと思わせる。
 

SPL独自技術2「Phonitorマトリックスとは?」
 

 


実際にスピーカーから音楽を聴くときには、右から来る音は、右耳からだけでなく左耳でも聴いている。このとき左右の耳に音が到達する際の時間遅延やレベル差を考慮して、ヘッドホンでもスピーカーリスニングのような自然な聴こえを再現するテクノロジーだ
 
 
 
 
 
 

■ヘッドホンの優秀さを引き出すクリアなサウンドを堪能


さて、実際のサウンドを確認してみよう。今回の取材ではソニーの開放型モニター「MDR-MV1」や、HIFIMANの平面磁界駆動型ヘッドホン「Arya Organic」などを使用してみた。

MDR-MV1で聴くとわかるのが、Phonitor xeのヘッドホンアンプとしての素性のよさだ。ニュートラルな音色で、抑揚表現も過不足なく、見通しのよいクリアなサウンドが楽しめる。ややダイナミックレンジが広がる印象で、臨場感が増してくれるので悪くない。音場表現もMDR-MV1の優秀さをしっかりと引き出してくれる。
 
SPL独自技術3「DLP120とは?」
 

 


120Vテクノロジーによって駆動されるデュアルローパスフィルター(Dual LowPass Filter)のこと。DACから出力された音源に対して、アナログでローパスフィルターをかけることで、よりなめらかなサウンドを実現できるという。


しかしながら、組み合わせとして魅力的だったのはArya Organicのほうだ。平面磁界駆動型らしい歪みのないクリアネスな中低域や、艶やかで煌びやかな高域が巧みに引き出され、魅力的なサウンドを楽しませてくれた。

以前、スタンダードモデルのPhonitor xを試聴した際に、いわゆる鳴らしにくいヘッドホンでも十全に鳴らしてくれる懐の深さを感じたが、Phonitor xeではさらに「ピュアな音色が楽しめる」印象だった。

DAC搭載モデルの背面には、アナログ音声入力(XLR/RCA)、デジタル音声入力(USB Type-B/同軸/光/AES)、ヘッドホン出力(XLR 4pin/6.3mm標準)端子が搭載されている


Phonitor xeとPhonitor x、両者は価格がほとんど変わらず音質差も少ないので、もちろん汎用性の高い「x」を選択するのもよいだろう。しかし、スピーカーとの接続が必要ない人には、より音楽的な表現が味わえるPhonitor xeも選択肢に加えてほしい。いずれにしても、リファレンスのヘッドホンアンプを探している人に、Phonitorシリーズは大いに推薦できる、とても優秀な製品だ。
 

USB DAC搭載ヘッドホンアンプ
SPL「Phonitor xe」
販売価格:343,200円(税込)
SPEC ●定格出力:アンバランス 2.7W+2.7W(600Ω)、バランス 8W+8W(600Ω) ●対応サンプリング周波数/量子化ビット数:PCM→768kHz/32bit、DSD→11.2MHz ●外形寸法:278W×100H×330Dmm ●質量:5.1kg

120Vテクノロジー搭載/Phonitor Matrix クロスフィード6段階・スピーカーアン
グル4段階/ VUメーター搭載/DAC768対応/ヘッドホン端子(4PinXLRバランス/6.3mm標準アンバランス)
 

本記事は「プレミアムヘッドホンガイド Vol.30 2023 AUTUMN」からの転載です。
(協力:A&Mグループ株式会社