建材のいのちも高める」異色の万博パビリオン、小堀哲夫氏設計のクラゲ館

川又 英紀

 

日経クロステック

 

大阪・関西万博のパビリオンの中でも、そのネーミングが異彩を放つ、通称クラゲ館の詳細が明らかになった。水槽の中でクラゲが泳ぐ水族館のようなパビリオンではない。

パビリオンの完成イメージ。クラゲの傘を模した大屋根が架かる(出所:steAm Inc.& Tetsuo Kobori Architects All Rights Reserved)

パビリオンの完成イメージ。クラゲの傘を模した大屋根が架かる(出所:steAm Inc.& Tetsuo Kobori Architects All Rights Reserved)

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 2023年9月20日、万博の目玉となるシグネチャーパビリオン(テーマ館)の1つである「いのちの遊び場 クラゲ館」の関係者が大阪市の大阪天満宮に集まり、安全祈願祭を執り行った。パビリオンを「現物協賛」で提供する大和ハウス工業グループが主催した。

 

 

 

大阪天満宮でパビリオンの安全祈願祭を開催した。中央がテーマ事業プロデューサーの中島さち子氏、右がパビリオンの基本設計を担当している小堀哲夫氏、左が2025年日本国際博覧会協会の高科淳副事務総長。関係者はそろいの法被を着て士気を高めた(写真:日経クロステック)

大阪天満宮でパビリオンの安全祈願祭を開催した。中央がテーマ事業プロデューサーの中島さち子氏、右がパビリオンの基本設計を担当している小堀哲夫氏、左が2025年日本国際博覧会協会の高科淳副事務総長。関係者はそろいの法被を着て士気を高めた(写真:日経クロステック)

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 パビリオンの協賛者である大和ハウスはグループ企業のフジタと共に、自ら実施設計と施工を手掛ける。クラゲ館は23年10月1日に、大阪・夢洲(ゆめしま)の会場で着工する予定になっている。

 

 

 

 祈願祭の後、記者発表会も実施。

 

 

「いのちを高める」のテーマ事業プロデューサーである中島さち子氏と、

 

パビリオンの基本設計を担当している小堀哲夫建築設計事務所(東京・文京)

の小堀哲夫氏、

 

 

そして2025年日本国際博覧会協会の高科淳副事務総長が出席した。

 

小堀氏が風変わりな形状のパビリオン構造などを解説。クラゲ館のプロモーションビデオも初公開した。動画は誰でも見ることができる。

 

 

 

中島氏と小堀氏、高科氏の3人が記者会見に出席した(写真:日経クロステック)

中島氏と小堀氏、高科氏の3人が記者会見に出席した(写真:日経クロステック)

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クラゲ館の構造などを模型を使って説明する小堀氏と中島氏(写真:日経クロステック)

クラゲ館の構造などを模型を使って説明する小堀氏と中島氏(写真:日経クロステック)

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 そもそも、なぜクラゲなのか。中島氏から改めて説明があった。「実体がないようで、だが確実に存在するいのちの光を象徴するものとして、原始的なクラゲに着目した」。クラゲを模した形のパビリオンには薄くて平たい大屋根を架け、“ゆらぎ”のある空間で来館者を出迎える。

 

 

 

 クラゲ館の屋根の大きさは、約40m×約35m。上の白い部分は約30m×約30mある。屋根の下は半屋外空間「五感の遊び場」になっており、外壁はほとんどない。外から中のにぎわいが見え、楽器の音などが聞こえてくる。音楽と踊りで「世界いのち祭り」を展開する。

 

 

 

テーマ事業プロデューサーの中島氏は、ジャズピアニスト(作曲家)で数学研究者、STEAM(科学・技術・工学・芸術・数学)教育者、steAmのCEO(最高経営責任者)と多彩な顔を持つ。特に教育分野に詳しい。会見中は常に笑顔だった(写真:日経クロステック)

テーマ事業プロデューサーの中島氏は、ジャズピアニスト(作曲家)で数学研究者、STEAM(科学・技術・工学・芸術・数学)教育者、steAmのCEO(最高経営責任者)と多彩な顔を持つ。特に教育分野に詳しい。会見中は常に笑顔だった(写真:日経クロステック)

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 建物は地上2階建て。子どもから大人まで遊べる「プレイマウンテン」と呼ぶ丘をつくり、2階に誰でも自由に出入りできる半屋外空間を配置する。起伏がある丘に点在する様々な遊具は、中島氏が数学や音楽の要素を盛り込みながら制作する。

 1階は予約制になりそうだ。2階からは一転して、暗闇の空間となる。中央に360度の映像設備を配置し、音楽の生演奏や世界の祭りを体験。居合わせた来場者が一緒になって、新たな祭りや踊りなどをつくり上げる。

 

 

1階は暗闇で、五感を研ぎ澄まして進む。中央部にある360度の映像を見ながら、来場者自身がイベントの一部になるような仕掛けを用意する(出所:steAm Inc.& Tetsuo Kobori Architects All Rights Reserved)

1階は暗闇で、五感を研ぎ澄まして進む。中央部にある360度の映像を見ながら、来場者自身がイベントの一部になるような仕掛けを用意する(出所:steAm Inc.& Tetsuo Kobori Architects All Rights Reserved

 

 

 

「建材のいのちも高める」異色の万博パビリオン、小堀哲夫氏設計のクラゲ館 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)